巨人はウイルスの感染予防を徹底していた。言葉は適切ではないが、感染したのは運が悪かった。丸は流れの悪い状況が続いている。ケチのつき始めは、昨年の日本シリーズでの接触プレー。意図的ではなかったが、世間的には悪者扱いされてしまった。お祓いが必要では、という声まで聞こえるのもわかる」(スポーツ新聞デスク)

 指摘するのは、昨年の日本シリーズ第1戦の4回裏のこと。ショートゴロ併殺打で一塁に駆け込んだ際、ソフトバンクの一塁手・中村晃の左足にスパイクの裏側が当たってしまうアクシデントが起きた。大ケガには至らなかったが、そのプレーに対しネットを中心に議論が巻き起こった。

「真面目で優しい男でラフプレーなどできない。当該プレー直後に謝罪しなかったことが問題にされたが、あれはチャンスに打てなかったことで思い詰めて余裕がなくなってしまった。自分の世界に入ってしまうのは、広島時代にもあった。責任感が強いので、今年のウイルスの感染も含め、考え過ぎなければ良いのだが……」(広島関係者)

「自らが結果を残せなかった時、チームの勝敗まで背負い過ぎてしまう。昨年の日本シリーズ後は、あのプレーのことをずっと気にかけていたらしい。日本シリーズでの敗戦の責任を最も感じていたのではないか。今年もコロナに感染している間に、阪神に走られてしまっている。早く戦列復帰したい、と焦っているのだろう」(広島担当記者)

 3番・坂本勇人、4番・岡本和真、5番・丸の強力クリーンアップが、巨人の今年のウリだった。しかし丸の離脱、岡本の不調などが重なり、早々と構想が崩れてしまった。その間に阪神は大型ルーキーの佐藤輝明が評判どおりの長打力を発揮するなど、強力打線ができつつある。

「阪神は経験が少ない若手や、優勝争いをしたことのない選手がほとんど。巨人の強みは選手層の厚さとともに、修羅場を重ねてきた数。夏から秋にかけての勝負どころでは、そういったものが必ず大きな武器になる。中でも圧倒的な経験を誇る丸の存在は、チームの核になるはず」(スポーツ紙デスク)

 阪神が好調とはいえ、まだ開幕して1カ月ほど。王者は焦らずどっしり構え、決して揺れることはない。直近の直接対決でも2勝1敗と勝ち越した。そこに頼れる男・丸が加われば、阪神追撃への機運はさらに高まっていくはずだ。