ほかにも、健康のために心がけていることがある。それは、「できるだけ動くこと」と、「よくかんで食べること」だ。

「若い人と暮らしていたとしても、自分のことはもちろん人のこともどんどんやってあげるのがいい。お茶をくんだり物を取りに行ったり。誰かのためじゃなくて自分の健康のために動くの。食事では、60回はかんでいますよ。左右でかめているかも意識して、食べ物が自然と喉を通るくらいにね」

■つらい時こそ「腹から笑いなさい」

 終始明るい崑さんだが、「ユーモアがないとつらい時に立ち上がれない」と話す。

「喜劇役者を60年以上続けていますが、喜劇と悲劇は紙一重やね。9歳のとき、父親を亡くして家族がばらばらになった。とてもつらかったからこそ、明るく生きようと思って喜劇の世界に飛び込んだんです」

 今の目標は「102歳まで生きること」だという崑さん。「とにかく笑いなさい」と励ます。

病気はなってしまうものやけど、自分で治すという気持ちがないとあかんね。僕は心のなかにもうひとりの崑ちゃんがいて、きつくてもつらくてもがんばれ、って励まされているよ。つらい時こそ腹から笑って。ユーモアを忘れないでください」

■大村 崑(おおむら・こん)
喜劇役者。1931年、兵庫県生まれ。キャバレーのボーイから司会、そして喜劇役者へと転身。「崑ちゃん」という愛称で親しまれ、昭和30年代のテレビ軽演劇で活躍。代表作は「やりくりアパート」「番頭はんと丁稚どん」など多数。日々筋トレに励んでいる。

(文/濱田ももこ)

※『手術数でわかるいい病院2021』から