「代表待ち」をやめるようお願いする都内の人気ラーメン店の貼り紙(※記事中の店とは関係ありません)
「代表待ち」をやめるようお願いする都内の人気ラーメン店の貼り紙(※記事中の店とは関係ありません)

 人気ラーメン店で、行列にあらかじめ一人が並び、店に入れそうな頃になると仲間がやってきて「割り込む」ケースが後を絶たない。後ろの客にとってはたまったものではなく、店側も貼り紙などでこうした行為を慎むよう注意喚起しているが、客同士のトラブルに発展することもある。

【写真】ラーメン好きとして知られるハリウッドスターといえばこの人!

 そもそも、こうした「割り込み」は違法行為ではないのか。何らかの処罰はできないのか。ラーメン好きで知られ、各地の名店に足を運んでいる「ラーメン弁護士」の見解は後述するとして、まずはこんな場面から。

 今年3月中旬。東京の東部にある人気ラーメン店で、客同士の“小競り合い”が起きた。行列に並んでいた中年男性の数人前に一人の女性がいたが、突然、その仲間の男女3人が現れ、列に加わった。

「ダメだよ、入っちゃ」

 男性が最後尾に並び直すように呼び掛けたが、

「前から来てましたから。車の中で待ってただけなんで」

 と男女は開き直った。

 男性がさらに注意しようと近づくと、「なんですか。ちゃんと間隔あけてくださいよ」などとソーシャルディスタンスを持ち出し、結局は並び直さず、男性より先にラーメンにありついた。

 同じ列にいて一部始終を目撃したという自称ラーメンフリークの男子大学生は、「(注意をした)おじさん頑張れっ!て思いましたよ。何度もこういう目にあいましたけど、平然とした顔で行列に入ってくるから余計に腹が立つ。なんであいつらが先に食って、まじめに並んだ自分たちが後なのか」と憤る。

 これらは「代表待ち」と呼ばれる行為だ。だが、例えばファミレスなら代表者の名前と人数をあらかじめ記入してから待つため、後から来た客も、どのくらい並んでいるかは最初に分かるし、その後、割り込まれる可能性は低い。一方でラーメン店の場合、多くの店舗はそうした仕組みがなく、突然、自分より前に入り込まれ、後ろに追いやられてしまう形だ。

 早く食べたいのをがまんして頑張って並んでいるのに、さらに待たされてしまうのだから、たまったものではない。お目当てのメニューが売り切れてしまうリスクだってある。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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