実力は日本軽量級でトップクラスの若松佑弥
実力は日本軽量級でトップクラスの若松佑弥

 PRIDEで活躍した長南亮の弟子である若松佑弥は、師のあだ名にあやかり“リトル・ピラニア”の異名を持つ。

 喧嘩や素行不良が過ぎ地元・鹿児島にいられなくなったという逸話を持つ若松は、格闘家を志し18歳で上京。長南率いるTRIBE TOKYO M.M.Aに入門し、2015年20歳でデビューした。このデビュー戦こそ寝技で敗れたが、その後は9戦9勝8KO。“ピラニア”ぶりを発揮しパンクラスのタイトルマッチに登りつめた。

 ここで王座奪取はならなかったが、後にアジア最大の格闘技プロモーションONE Championshipと契約。チャトリCEOから「絶対チャンピオンになれる」と期待を受け、現在3連勝で4月22日(木)にリース・マクラーレン戦を迎える。

「すごい格闘技を楽しみながらやってる感じがします。上手い選手ですよね。殺気が凄いとかじゃなく楽しんでる、“スポーツマン”の印象です。殺傷能力がある訳じゃないけど上手い。グラップラーなのに回し蹴りとかいろいろ技を出したりするので、格闘技が好きなのかなって思います」

 対戦相手の印象を若松はそんな風に言う。マクラーレンは柔術黒帯を持つオーストラリアの29歳。14勝のうち8試合で一本勝ちした極め力を持つが、昨年10月の前戦はヒザ蹴りでKO、ボクシングルールでも試合に挑むなど打撃技術を高めている。

 そんなマクラーレンが“スポーツマン”であるなら「僕はもう“殺し屋”です(笑)」と若松は話すから振るっている。

「自分の殺気で恐怖感を与えて、逃げタックルに来たところをブチっと切って、下になったところをヒザとかヒジを入れて滅多打ちにしたいです」

 試合プランも明確だ。コロナ禍により試合間隔が空いたが、その期間に組み技の能力を高め、より自信を増している。

「何でもやればできないことないなと思って。グラップリングだって“俺はストライカーだから寝技は逃げるだけしかやらない”じゃなくて、“全部とりあえずやってみる”みたいな考えになりました」

 19年12月に長男が誕生。息子のためにも苦手とする給付や助成金の書類作成に取り組み、これはグラップリングに対する取り組みにも共通し、人として成長があったという。

「やっぱり子どもが生まれて考え方もガラっと変わりました。もう父親になったんだし、自分が一番動かないと。人任せじゃ強くなれないし、自分から取りに行く、動かないとっていうのはあります」

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「別に面白いと思われなくていい」