好調の佐藤輝明選手(c)朝日新聞社
好調の佐藤輝明選手(c)朝日新聞社

 開幕から首位を快走する阪神の立役者がスラッガーのドラフト1位・佐藤輝明、俊足巧打で評価を高めているドラフト6位・中野拓夢だ。

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「佐藤は身体能力が高いが、プロの一線級の投手に対応するのは、少し時間がかかると思っていたので想像以上ですね。中野は春季キャンプから評価が高かった。ミート能力が高く、直球を引っ張れる力強さも兼ね備えている。ドラフト6位まで残っていたのが不思議なぐらいですね。遊撃の守備も堅実で、木浪聖也からレギュラーを奪う可能性は十分にあります」(スポーツ紙阪神担当記者)

 佐藤はオープン戦で打率.361、12球団トップの6本塁打を放ったが、シーズンに入ると他球団も徹底マークする。執拗な内角攻めで打率1割台と苦しんだが、早くも対応しつつある。今月9日のDeNA戦(横浜)で横浜スタジアムの右中間に場外アーチを放つと、14日の広島戦(甲子園)で森下暢仁のカーブに泳ぎながらも右中間に運ぶ甲子園初アーチ。15日の同戦でも左腕・床田寛樹の直球をバックスクリーンにぶち込んだ。詰まって鈍い音がしたにもかかわらず、規格外のパワーで飛ばした2試合連続アーチに球場がどよめいた。阪神の新人で4月末までに5本塁打を放ったのは、2リーグ分立制以降史上初の快挙だった。

 中野も負けていない。シュアな打撃で、パンチ力もある。遊撃でも守備範囲が広い上に手堅い。開幕1軍入りし、途中出場で5割を超える打率をマークすると、10日のDeNA戦(横浜)から木浪を押しのけて、「8番・遊撃」で4試合連続スタメン出場。11日の同戦でプロ入り初の猛打賞をマークすると、14日の広島戦(甲子園)で4回に右翼線三塁打、6回にも一塁線を破る二塁打とダイヤモンドを疾走した。15日現在で24打数12安打、打率.500と打ちまくっている。

 新戦力の台頭で苦しい立場に追い込まれたのが、かつての「スター候補」たちだ。佐藤と同じ外野手で、16年に新人王を獲得した高山俊は右足を開いて構えるオープンスタンスの新打法で今年に臨んだが、開幕1軍メンバーから漏れ、ファームでも打率が1割台を切る状態と苦しい。17年に20本塁打をマークした和製大砲・中谷将大もファーム暮らしが続いている。18年から出場試合数が3年連続で80試合を切り、昨年も87打席のみと存在感が薄くなっている。

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