サッカー女子日本代表の長谷川唯 (c)朝日新聞社
サッカー女子日本代表の長谷川唯 (c)朝日新聞社

 4月8日(木)、11日(日)、なでしこジャパンは、昨年のシービリーブスカップ以来、約1年ぶりの対外試合を行った。ユアテックスタジアムで行われたパラグアイ戦に続き、本番を視野に入れて中2日で臨んだパナマ戦も、菅澤優衣香(三菱重工浦和レッズレディース)のハットトリックなどで7対0。快勝を収めた。

 苦戦すれば「こんなことで大丈夫か?」と厳しい声を出し、ゴールラッシュを見ると「相手が弱すぎたんじゃないか?」と、異なるクエスチョンマークを頭に浮かべるのがファン心理だ。昨年の12月18日に発表されたFIFA女子ランキングでは、初戦のパラグアイが47位で、パナマは59位に位置づけられている。

 一昨年の女子ワールドカップ・フランス大会で、最も涙を呑んだのがパナマだ。北中米予選では、世界大会常連のメキシコを2対0で破る番狂わせを演じた。準決勝(対カナダ●0対7)と3位決定戦(対ジャマイカ●2対2、PK2対4)、さらに大陸間プレーオフのホーム&アウェー(対アルゼンチン、アウェーで●0対4、ホームで△0対0)と4試合を戦ったが、本大会の出場権を逃した。

 今回来日したメンバーは、カウンターの中心となるナタリア・ミルズなどの海外組や、二十歳のリネス・セデニョのような気鋭のストライカーまで、世界大会の切符を賭けて戦った当時の主力選手が占めていた。試合の前日には、母国のメディアから「パナマの女子サッカーの将来を占ううえで大きな一戦」とハッパもかけられていた。

「もちろん『FIFAランク的に言えば、圧勝して当然だ』という声ももちろんあると思いますけれども、パナマは各選手個々のレベルの高さというのを感じましたし、チームとしてもそのサッカーに対する熱というのは、ものすごく高いなという風に感じました」(高倉麻子監督・なでしこジャパン)

 新型コロナウイルスの感染拡大を徹底する国策もあって、対戦相手を探すにも大きな障害がある現状を考えれば、悪くない対戦相手に思われた。

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相手に脅威となった“カルテット”