浦和学院から早稲田大学に進学した蛭間拓哉 (c)朝日新聞社
浦和学院から早稲田大学に進学した蛭間拓哉 (c)朝日新聞社

 ここ数年の高校野球で最も盛り上がりを見せた年となると、やはり2017年ではないだろうか。根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)などを擁する大阪桐蔭が史上初となる2度目の甲子園春夏連覇を達成。また夏は吉田輝星(日本ハム)が獅子奮迅の活躍を見せた、いわゆる“金農(かなのう)フィーバー”もあった。そんな彼らは秋のドラフトで1位指名を受け、現在は一軍定着に向けて奮闘しているところだが、同世代にはプロを選ばずに進学、社会人入りを選択した有望選手も少なくない。そんな2000年生まれのアマチュア選手について、ピックアップして紹介したいと思う。

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 まず今年のドラフト対象となる社会人3年目の選手で最も注目を集めているのが米倉貫太(埼玉栄→Honda)だ。埼玉栄では甲子園出場はなかったものの、早くから県内では評判の投手であり、東北高校でダルビッシュ有(パドレス)を指導した若生正広監督(当時)も米倉のフォームについて「直すところがない」と語っていたほどの素材である。

 社会人では選手層の厚さもあって公式戦で活躍する機会は少なく、チームが優勝した昨年の都市対抗でもわずか6球の登板に終わったが、ストレートの最速は151キロを記録。そして3月に行われた東京スポニチ大会では先発として社会人初勝利もマークした。投げるボールのばらつきは大きく、完成度の高さはまだまだという印象だが、素材の良さは社会人球界でも屈指である。今後の公式戦での活躍次第では上位候補に浮上してくる可能性もあるだろう。

 社会人に進んだ他の選手では夏の甲子園で大阪桐蔭を苦しめた山田龍聖(高岡商→JR東日本)、高校時代から九州屈指の本格派として評判だった河浦圭佑(小倉→JR東日本)も好素材。野手ではスピード溢れるプレーが魅力のショートで昨年の都市対抗でも活躍した水野達稀(丸亀城西→JR四国)、社会人での実績は乏しいが常勝チームの扇の要として高い守備力を誇った小泉航平(大阪桐蔭→NTT西日本)も候補となりそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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大学に進んだ選手は?