子どもの病気では咳も多いですが、多くの場合ホームケアで大丈夫です。ただし、咳が強く出て眠れない、ゼーゼーと音がする、顔色が悪いという場合は、呼吸不全のサインです。気道や肺に重大なトラブルがある可能性があるので、すぐに受診しましょう。

――子どもが吐いた場合はどうすればいいでしょうか?

 吐いたら30分から1時間後に水分を与えてみましょう。少しずつ水分がとれていれば大丈夫です。乳児の場合は母乳や粉ミルクでもいいです。吐き続けて飲めない場合は、脱水のサインに注意してください。泣いても涙が出ない、12時間以上尿が出ない、元気がなくぐったりしているときは、脱水状態となっていますので、すぐに受診が必要です。

 ちなみに下痢は緊急受診の必要はありません。ただし、水分はしっかり与えてください。腹痛は危険な病気であることが多いので、トイレで便をした後も腹痛が続く場合は必ず受診しましょう。

――新型コロナが疑われる場合はどのように対応すればいいでしょうか?

 同居する家族が新型コロナウイルスに感染した場合、子どもも新型コロナの濃厚接触者となります。子どもがぐったりしていなければ緊急受診の必要はありません。かかりつけ医や各自治体の受診相談センターに電話で相談し、その指示に従って、診察、検査という流れです。

――コロナ禍では不要不急の外出を控えたほうがいいと思いますが、乳幼児健診と予防接種はどうすればいいのでしょうか。

 乳幼児健診と予防接種はとても大切です。これらは不要不急の外出には当たりません。時期を遅らせないように、決められたタイミングで受けてください。
(取材・文/スローマリッジ取材班 時政美由紀)

※1 Beliefs, Practices and Health Care Seeking Behavior of Parents Regarding Fever in Children. Medicina (Kaunas). 2019; 55: 398.
※2 横浜市立市民病院看護部看護研究集録 2009; 4: 19-24.
※3 高温曝露に基づく高体温の脳幹への影響. 法医学の実際と研究 2008; 51: 99-103.
※4 Temperature measured at the axilla compared with rectum in children and young people: systematic review. BMJ. 2000; 320: p1174-8
※5 日本看護学会論文集: 急性期看護. 2019: 49; 190-193.

岡本光宏(おかもと みつひろ)
兵庫県立丹波医療センター小児科医長。2009年奈良県立医科大学医学部卒業。同年神戸大学大学院医学研究科小児科学分野に入局。姫路赤十字病院、明石医療センターを経て、2019年より現職。専門はアレルギー疾患。新生児から思春期の心の疾患まで幅広く診療している。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医臨床研修指導医、日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命処置法インストラクター。3児の父として、子育てにも積極的にかかわっている。著書に、『研修医24人が選ぶ小児科ベストクエスチョン』(中外医学社)、『小児科ファーストタッチ』(じほう)など。
Twitter/@pediatrics_jp