色んな裏のドラマを目撃してきた。

 中でも、最近目撃したとびっきりのドラマがある。

「にじいろカルテ」の撮影中のこと。

 町の集会所でみんな集まってわいわい食事するシーンの中で、子役(男子7歳)が、私の娘役(5歳)に

「僕たちも結婚しようか」

 と言って、

「まだはやいと思う」

 と振られる、というシーンを撮影していた時のこと。

 いくつかのカットを撮り、セッティング変えのために皆でわらわらとセットを出て前室に向かっていた時、

「うわあーーーーん!」

 と、その子役の男の子が泣き叫ぶ声がスタジオに響いた。

 その子は泣きながらスタジオを走り出て、そのまま廊下を走り抜け、楽屋に駆け込んでいった。お母さんがその後を追いかける。

 皆、何事かと顔を見あわせた。

 男の子の号泣する声が楽屋から漏れ聞こえてくる。

 その子が泣いた理由は、「失恋」だ。

 男の子、私の娘役の子に恋しちゃったのだ。

 そして、上記のセリフのカットを撮り終えた直後、ガチで「すきです」とこっそり告白したのだ。多分、人生初の告白。

 だけど「ほかに好きな子がいる」とガチで振られてショックを受け、号泣しちゃった、という経緯だった。

 この微笑ましいエピソードに出演者全員きゅんきゅん。

 その後井浦新さん筆頭に、男性陣が男の子を楽屋から連れ出し、なぐさめ、「俺たちだって何度振られたことか!」と励まし、「一度振られたからって終わりじゃないぞ」と背中を押して、男の子は元気を取り戻して無事に撮影再開した。

 幼い男の子の青春の1ページを間近で見て、出演者スタッフ一同、あたたかーーい気持ちになった。

 ドラマを見ながら、みなさん、たまに舞台裏のドラマも想像してみてくださいね。

■水野美紀(みずのみき)
俳優。ドラマ・映画・舞台で活躍中。<出演情報>読売テレビ・日本テレビ系ドラマ「カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~」が4月1日スタート。レギュラー番組は、フジテレビ系バラエティ「突然ですが占ってもいいですか?」毎週水曜22:00~、読売テレビ「水野美紀の映画生活(シネマライフ)」毎週金曜22:54~<関西ローカル> http://www.ytv.co.jp/cinemalife/

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水野美紀

水野美紀

水野美紀(みずの・みき)1974年、三重県出身。女優。1987年にデビュー。以後、フジテレビ系ドラマ・映画『踊る大捜査線』シリーズをはじめ、映画、テレビドラマ、CMなど、数多くの作品に出演。最近では、舞台やエッセイの執筆を手掛けるなど、活動の幅を広げている。2016年に結婚、2017年に第一子の出産を発表した

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