大学生で目玉と見られているのが佐藤隼輔(筑波大)だ。仙台高時代から宮城県内では屈指のサウスポーと評判の投手で、大学でも順調にステップアップしてきた印象を受ける。4月10日に行われた春季リーグの初戦では全12球団のスカウトが集結する前で3安打完封。翌日もタイブレークとなった10回からマウンドに上がって3イニングを自責点0に抑えて、2日連続で勝ち投手となっている。リーグ戦通算防御率は0点台と安定感は抜群で、フォームの雰囲気は昨年の目玉だった早川隆久(楽天)に重なる部分もある。順調にいけば複数球団の1位指名が濃厚だろう。

 大学生では他にも佐藤と同じサウスポーに注目選手が多いが、中でも1位候補になってきそうなのが鈴木勇斗(創価大)と山下輝(法政大)の2人だ。鈴木は173cmと上背はないものの、たくましい体格から投げ込むストレートはコンスタントに140キロ台後半をマークし、その勢いは大学球界でも指折りだ。春季リーグの初戦では爪を痛めていた影響からか自慢のストレートが少し走らなかったものの、それでも1安打、13奪三振完封と圧巻の投球を見せている。昨年と比べて変化球の精度が上がったのは大きな成長である。

 山下は190cm近い長身から投げ下ろす角度十分のボールが武器の大型左腕。今季初登板となった4月11日の慶応大戦では4回3失点で負け投手となったものの、立ち上がりの2回は完璧な投球を見せて居並ぶスカウト陣を唸らせた。完成度は佐藤、鈴木には劣る印象だがスケールの大きさがあるだけに、将来性を重視する球団は高く評価する可能性が高いだろう。他のサウスポーでは隅田知一郎(西日本工大)、桐敷拓馬(新潟医療福祉大)、黒原拓未(関西学院大)、伊藤稜(中京大)なども有力候補となりそうだ。

 右投手では徳山壮磨(早稲田大)、三浦銀二(法政大)など高校時代から評判の投手を抑えて最も注目を集めそうなのが椋木蓮(東北福祉大)だ。昨年秋のリーグ戦ではリリーフでの登板ながらほぼ完璧なピッチングを見せてMVPを受賞。最速153キロのストレートだけでなくコントロールも高レベルで、短いイニングであれば崩れそうな気配が全く感じられない。リリーフ陣が手薄な球団にとっては極めて魅力的な投手と言える。宮城県内の新型コロナウイルス感染状況の悪化から、仙台六大学野球のリーグ戦開幕は5月にずれ込むこととなったが、スカウト陣が大挙して視察に訪れることは間違いないだろう。

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社会人も好投手揃い?