ノースアジア大明桜・風間球打 (c)朝日新聞社
ノースアジア大明桜・風間球打 (c)朝日新聞社

 投高打低。今年の選抜高校野球ではそんな声が多く聞こえた。開幕してから4日間はホームランが出ず、決勝戦にも象徴されるようにロースコアの接戦が多かったことがその原因だが、ドラフト候補のプレーについても同様だったと言えるだろう。大会前から評判だった投手が軒並み見事なピッチングを見せ、特に小園健太(市和歌山)、達孝太(天理)、畔柳亨丞(中京大中京)の3人は上位候補という評価を固めた印象が強い。それ以外にも木村大成(北海)、石田隼都(東海大相模)、花田侑樹(広島新庄)、伊藤樹(仙台育英)なども軒並み評価を上げたと言えそうだ。

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 そして今年は選抜高校野球に出場していない高校生や、他のカテゴリーにも好投手が多い。高校生で昨年から上位候補に名を連ねているのが風間球打(ノースアジア大明桜)と森木大智(高知)の2人だ。風間は昨年夏の秋田県代替大会で150キロをマークした大型右腕。秋は少し調子を落として早々に敗退したものの、この春はコンスタントに150キロを超えるまでスピードアップしてきているという。真上から投げ下ろすストレートの角度は抜群で、投げる以外のプレーのレベルも高い。この春のでき次第では、高校生の目玉となる可能性もあるだろう。

 森木は中学時代に軟式で150キロを計測。高校では小さな故障が重なってなかなか本領を発揮することができずにいるが、この春の県大会では152キロをマークして成長ぶりを見せた。同世代の中で最も早くその名が知れ渡った選手だけに、最終学年での巻き返しに期待したい。

 この春に一気に浮上してきた感があるのが大型サウスポーの羽田慎之介(八王子)だ。190cmを超える長身で、サイドに近いスリークォーターから最速149キロのストレートを投げ込む姿はかつてメジャーで大活躍したランディ・ジョンソン(元マリナーズなど)を彷彿とさせるものがある。この春は故障明けということで短いイニングの登板に限定しているとのことだが、スケールは抜群なだけに夏の活躍次第では上位候補に浮上することも十分に考えられるだろう。他では昨年秋の北海道大会で木村と投手戦を演じた道内を代表する本格派右腕の田中楓基(旭川実)、この春の成長著しい寺嶋大希(愛工大名電)なども面白い存在となりそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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