プロ初先発は7回1失点の好投で勝利投手となった。巨人における10代での一軍初登板初勝利は、槙原以来29年ぶりの快挙だった。続く5月1日の広島戦(東京ドーム)では、初完投初完封を記録。巨人での高卒2年目の完封は桑田真澄以来と、ここでも偉大な先輩と肩を並べた。

「何かを持っている感じ。デビュー以来、のちの大投手と共通の結果を残した。槙原、桑田と言えば、巨人の歴史に残る名投手。しかも江川の背番号をつけている。誰もが期待したはずで、原辰徳監督も目を細めて成長を見守っていた」(巨人関係者)

 13年はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が重なった関係もあったが、開幕投手を任された。20歳での開幕投手は桑田(88年)以来で、エース候補として期待された証でもあった。しかし、その後は故障も重なって伸び悩み、昨シーズンのオフに戦力外となった。

「宮国ともいろいろ話をした。選択肢は与えたけど、彼が自分でそっち(現役続行)を選んだ。やっぱり前途洋々たれと。甲子園の行進曲じゃないけど、栄冠は君に輝く、そういう気持ちを持って次のスタートを切ってほしい。ピンチはチャンスであると」(巨人・原監督)

 昨年11月11日、巨人から戦力外を告げられ、12月7日に合同トライアウトを受けた。シーズン中に違和感を感じた右肩の状態も良くなり、最速140キロを計測。しかし所属先は決まらない状態が続いていた。

「獲得に前向きな球団もあったと聞く。懸念されたのがノンビリした性格。本人は戦力外になるとは夢にも思っていなかった。トライアウトを受けなくても獲得に手を挙げる球団があるとも思っていたらしい」(巨人担当記者)

「素直にホッとしてます。今持ってる全ての力を出せたと思います。両コーナーへ、コントロールを見せたかったが、やや甘かったかなと。どうなるか分からないですけど、今日は楽しく投げられたので良かったです」(宮国)

 合同トライアウト後のコメントからも悲壮感はなく、マイペースな性格がここでも顔をのぞかせた。

次のページ
「大きく変わるチャンスだと思う」