カウンセリングシートには自分のS度・M度を記入する欄があり、他にも性感マッサージでされたい希望プレイ・NGプレイ、照明の明るさの好み、BGMの有無の希望や曲のジャンルまでもこちらの要望を丁寧に聞いてくれた。これまで男性と性的行為をする際に、こういった趣味嗜好を相手から詳しく聞かれることはなかったため、少し戸惑った。それと同時に、自分が普段いかに男性の趣味嗜好に合わせた性的行為を行っているかを痛感した。私は彼に対して、どちらかといえば「攻めてみたい」という気持ちはあったが、「私よりも歳下の男性に対して、その欲をぶつけるのはいかがなものか」と思い、"キャストにおまかせ"に丸をつけた。

 それ以降はドラマや映画のカップルのように穏やかな会話をしながら一緒に入浴し、ベッドに移って性的サービスが施される。もちろん本番行為などは一切なし。受けることのできるサービスは男性向けヘルスと似た内容だろう。ちなみに入浴に関しても、"一緒に入る、別々に入る、途中から一緒に入る"といった選択肢の中から選ぶことができた。私は、普段は絶対に男性と一緒にお風呂には入らないのだが、せっかくなので一緒に入ることにした。

「彼はなんでこの仕事をしているのだろう」

 入浴後、いざベッドを前にすると突然、そんなことが気になった。とはいえ、これから性的サービスを受ける人間が「なんでこの仕事をしているの?」と尋ねるのはどこか偉そうでもある。そして、何より「風俗嬢に対して説教をする中年オヤジみたいだな」と感じたので、聞かないことにした。

 カウンセリングの際に私は"キャストにおまかせ"を選択したので、部屋を少し薄暗くした後に彼の方から丁寧に攻める姿勢を取ってくれた。普段、私はいわゆる「大人のおもちゃ」を使った性的行為を好まないのだが、その理由と言えば、食わず嫌いのようなものである。なので「これはいい機会かも」と思い、彼がカバンから取り出したおもちゃで性的サービスを受けてみることにした。日頃、私は恋愛やセックスにまつわるコラムを書いているので、「中イキが出来ない」「セックスを気持ちいいと思ったことがない」といった性に関する相談を女性から寄せられることがよくあるのだが、こうした女性向け風俗でプロに任せれば解決することも可能に思えた。 

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