<GDP至上主義だった経済も、コロナによって待ったなしの変革が求められている>

<ウェルビーイングという言葉をご存じだろうか。生活の質やクオリティー、活力をもって健康に人生を過ごしているかなども含め、その国の「幸福度」を示すものである。過去にこの幸福度は、イギリスにおいてはブレグジット投票の前に下落し、エジプトではアラブの春の前に下落している。つまり、幸福度はその国の政治経済と深く結びついているといってよいだろう。国連は毎年ウェルビーイング調査を行っているが、日本は「世界幸福度ランキング」(2019年)で、世界156ヶ国中、58位だ。前回の54位からさらに順位を下げている>

<いくら停滞しているとはいえ、それでも日本は世界第3位の経済大国であるにもかかわらず、幸福度は低い。いま世界では、「経済」から「幸福度」重視へと潮流が変わりつつあるようだ。 日本もこれまでの「たくさんお金を稼いで、たくさん物を買うのが幸せ」という物質社会はもう過去のもので、あらためて、健康や安らぎといった個々の人生百年を考える時期に入っているのではないだろうか。時代は次の段階へ、GDPから国民一人ひとりのGDW(ウェルビーイング)へ>

 そして自民党の憲法改正推進本部長を務めていた下村氏は、安倍前首相と同じく憲法改正論者だ。憲法改正は自民党の「党是」と言い、こう問いかけている。

<国際情勢の変化、地球環境問題の深刻化、グローバル社会における我が国の位置づけの変化などに鑑みて、戦後75年間、一度も憲法を改正することなく、解釈改憲だけで対応していて良いのだろうか>

 そして、新型コロナウイルスの感染拡大などを踏まえて<緊急事態に対応した憲法>と訴える。

<我が国では緊急事態宣言を出しても、外出自粛などはあくまでも「お願い」であり、他国のように強制的に取り締まることはできない。これとは対照的に、フランスなどでは外出禁止令を出し、違反する市民を強制的に取り締まることができる。そういう法律があるからこそ、そこまでの対応ができるという訳だ>

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安倍前首相批判は覚悟の現れ?