巨人の大城卓三選手(C)朝日新聞社
巨人の大城卓三選手(C)朝日新聞社

 7日の巨人阪神戦(甲子園)。1-7と大差をつけられた7回で巨人の大城卓三が一塁の守備位置につくと、球場から驚きの声が挙がった。大城はこの試合に「6番・捕手」で先発出場するなど開幕から11試合連続先発マスクをかぶり、正捕手として固定されていた。一塁を守るのは昨年8月20日の阪神戦(東京ドーム)以来で、代打で途中出場した岸田行倫が捕手についた。さらに、8回の守備では岸田に代わり炭谷銀仁朗がマスクをかぶった。

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「打撃の良い大城を一塁、岸田を捕手に入れることで攻撃的布陣をテストする意図があったのかもしれませんが、大城は捕手に固定すると思っていたので驚きでした。前夜にロッテから昨季途中に移籍して初アーチを放った香月一也を一塁に入れると思ったのですが、長丁場のシーズンを見据えてこのような起用をしたのでしょう。小林誠司が登録抹消されたのもびっくりしました。捕手としての能力はリーグ屈指ですから。故障したのかな?と思いました」(他球団のスコアラー)

 故障を疑うのも無理はない。開幕から大城、小林、炭谷の捕手3人制を敷き、大城が全試合にスタメン出場。ただ、小林の貢献度も大きかった。途中出場で3勝3分けと「抑え捕手」として勝利に貢献。「小林は若い投手をリードするのがうまい。1点を争うシーソーゲームであの強肩も厄介です。大城が先発マスクをかぶり、1点の重みが増す試合終盤に小林にスイッチする。戦い方が確立されているのだなと感じました」と分析する。

 だが、他球団が高く評価する小林がまさかの登録抹消。その背景には深刻な得点力不足があった。丸佳浩、中島宏之が新型コロナウイルス感染で離脱し、4番・岡本和真、DeNAからFA加入した1番・梶谷隆幸も打率1割台と本来の打撃に程遠い。貧打に苦しむ中、首脳陣は打力に定評がある岸田を昇格させ、小林が2軍降格の「憂き目」にあった。だが、小林を打力不足と論じるのは酷だろう。今季6試合出場で打席に立ったのは3月28日のDeNA戦(東京ドーム)のみ。この打席で犠打をきっちり決めている。

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