以前から阪神の投手はバント処理のミスなどから崩れるケースが多い印象が強いが、データでもその傾向がはっきり出ていると言える。また先発の西勇輝、秋山拓巳も2つずつ記録しているものの、残りの10人は主にリリーフで登板していた選手たちである。野手だけなく投手も、試合の途中から出場する選手の守備力向上は必要と言えるだろう。

 今年はルーキーの中野拓夢と巨人から移籍した山本泰寛が試合途中から出場することが多く、山本は1つエラーを記録しているものの2人とも安定感のある守備を見せているのは好材料。9試合を終了した時点でのチーム失策数は5でセ・リーグ6チームの中では2番目に少ない数字だ。

 昨年の同じ時期でのチーム失策数は1であり、ここから土のグラウンドである甲子園での試合が増え、夏場以降に失策数が増えている傾向を見ても現在の数字は楽観視できるものではないかもしれないが、昨年からチームとして変化が見られていることは間違いない。投手がここまでエラーを記録していないというのも好材料である。

 今週からいよいよ本拠地である甲子園での試合もスタートするが、ここでも安定した守備を継続することができれば、16年ぶりとなるリーグ優勝の可能性も大きくなってくることが期待できるだろう。そういう意味でも投手も含めてスタメンではない選手の守備にも今後注目してもらいたい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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