──公開されたことで、何か嫌がらせがありましたか?     

「非通知の電話が鳴り続けて、誰の電話かもわからない。加納のほうは精神的に病んで不安定になりました」(嶋田さん)     

「寝つけないし、動悸がすることがありました」(加納さん)  

──お2人はパートナーシップ制度を利用しているのですか。

「伊賀市には5年前、パートナーシップ制度ができて、4年半ほど前から使ってます。同性婚が日本ではないので、僕たちは結婚できない。結婚制度に代わる制度として、国に代わって一部の地方自治体でパートナーシップ制度を利用できるようになっています。結婚とはまた別で法的には効果がない」(加納さん)    

──パートナーシップ制度でメリットはありますか。  

「たとえば一部の病院で2人が家族であるというのを認めてもらえたり、公営住宅の利用申し込みができます。携帯電話の家族割プランに入れたり、死亡保険の受け取りができるとかがあります。小さなことではあるんですけれども、そういったことよりも、2人が家族であるという証が欲しくて、僕らは使っています。幸せに暮らしてます」(嶋田さん)  

──最後に、小林県議に伝えたいことはございますか?  

「今はホッとしている気分なので、今後どうやっていくかまだ決まってないんです」(嶋田さん)  

 小林県議は1974年生まれ。2011年に津市の市議会議員補欠選挙で初当選。市議を2期務め、19年に三重県議会選挙で初当選。AERA dot.では小林県議にも話を聞いたが、2人に対する謝罪の言葉や住所、電話番号などを公開したことに対する反省の言葉は聞けなかった。その様子を記事にした前編はこちら→「同性カップル住所無断掲載の三重県議を直撃 反省や謝罪の言葉なし」

(AERAdot.編集部 上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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