カーティス:ニューヨークでは1泊何十万円も払ってナイトナース(夜間のベビーシッター)を雇う夫婦共働き家庭もあると聞きますが、実際はどうですか? 

愛波:ニューヨークは特に高いですが、1泊10万円を超えるところもあれば、200ドルくらいのところも、1時間80ドルというところもあります。出産後1カ月ほど毎晩頼むケースが多いので、利用しているのはやはり裕福な家庭がほとんどです。夜に赤ちゃんを見てくれて、授乳の時間だけ赤ちゃんをママのところに連れてきてくれるので、ママはゆっくり寝られます。日本では、夜間自分の家に他人を入れることに抵抗のある方が多いので、なかなか難しいかもしれません。

カーティス:ここからは、乳幼児期の睡眠の重要性について教えてください。

愛波:生活リズム、体内リズムを整えることで睡眠の悩みや問題を回避でき、学習能力が上がるということがわかっています。夜中の授乳は、生後6カ月くらいまでは必要ですが、離乳食が始まると夜8時間くらい続けて寝られる体の準備が整ってきます。その時期を過ぎても夜中に3回以上、または60分以上起きてしまう場合や、1歳を過ぎても夜中に頻繁に起きる子は睡眠改善が必要。たとえその状況にママが困っていなくても、子どものためにもっとぐっすり寝かせてあげることが大事なんです。乳幼児期に睡眠や生活のリズムを整えることは、小学校に上がってからの学力低下や不登校、いじめなどの問題につなげないためにも重要です。

カーティス:ママも十分に睡眠をとれば、ストレスが減りますよね。

愛波:睡眠不足になると、イライラしたり、うつになったりする可能性が上がるということもわかっています。睡眠は本当に大事です。

カーティス:4月から育休が明けて仕事に復帰した方も多いです。子どもの生活リズムが変わり、お昼寝のタイミングなど新たな悩みが出てくるケースも多いと思います。

愛波:子どもはもちろん、ママ自身の生活リズムを整えてあげることも大事ですね。まずはきちんと朝日を浴びましょう。1歳前後で仕事に復帰する場合、保育園でのお昼寝不足が問題になることが多いです。子どものベストな活動時間と合計睡眠時間は成長とともに変わりますが(表)、10カ月~1歳2カ月までは活動時間が約4時間、つまり日中は、朝寝と昼寝の2回睡眠が必要です。それが1歳児クラスではお昼寝が1回だったり、子どもによっては保育園ではまったく寝なかったり、ということもあります。そういう場合は、夕方お迎えに行ったら、帰りに抱っこでもベビーカーでもいいから30~45分寝かせましょう。ここで仮眠を取ることで、帰宅後のお風呂やごはん時のグズグズやかんしゃくがなくなり、夜もスムーズに寝てくれて夜泣きが少なくなります。

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