「スピードは素晴らしい。打ってから一塁までの到達速度やベースランニングでは、チームトップクラス。守備でもフットワークの軽さが目立つ。現状でも評判通りのものを持っていて、代走、守備固めなら一軍レベル。課題と言われる打撃もミートは上手い。身体ができてプロの投手に慣れてくれば、心配ない」(広島関係者)

 キャンプ後半から実戦形式に移行してから、矢野の評価は日増しに高まっていった。一方で心配なのは、小園海斗の名前を今のところ聞かないことである。3年目の小園は今春キャンプは二軍からスタート。その間に矢野のほか、同期の内野手である林晃汰、羽月隆太郎が存在感を発揮している。まだ結果をすぐに求められる年齢ではないが、厳しい立場になりつつあるのが現状だ。

「(小園は)同年代の内野手の中では、少し出遅れてしまった。3拍子揃った10年に1人とも言える好素材。アマ時代から大舞台での経験も豊富で将来を嘱望されていた。プライベートの問題も重なり、期待通りの成長ができていない」(広島担当記者)

 高卒1年目から一軍で58試合に出場し、打率.213、4本塁打、16打点の数字を残し、早い段階での定位置確保も期待された小園。だが2年目の昨季は一軍出場はわずか3試合で、ノーヒットに終わった。グラウンド外では、SNS上での女性とのやり取りが流出するトラブルもあった。また、年明けに結婚を発表するなど、野球以外で話題となることが何かと多かった。

「昨年は少し浮ついた部分が見られた。自分はやれる、と思ってしまったのかな。林、羽月が泥臭いタイプなので比較もされてしまった。矢野もなりふり構わない感がスゴい。小園の持っているものは飛び抜けている。大事な時期なだけに、良い方へ行って欲しい」(広島関係者)

 小園は根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)と並ぶ高校ビッグ3と呼ばれ、鳴り物入りでプロ入り。1年目だけ見れば、同年代のトップを走っていた。しかしプロの壁にぶつかり、現在は必死に足掻いている。矢野を含めたライバルの存在が飛躍するための起爆剤になることを周囲は望んでいる。

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今の広島にはキャラの濃い選手も必要?