開幕ローテーション入りが確定している投手なら理解できる。しかし身体作りと投球フォーム固めに勤しむ投手が投げるような状況ではない。グラウンド外での“大人の事情”が絡んでいるのでは、という声が聞こえて来るのもしょうがない。

「ここまでの経過は周りのピッチャーよりも確かに遅いですが、順調に階段を上って来ています。これからゲームでもどんどん投げて行くでしょうし、その結果が良ければ『次も』となる。ファンのみなさんと同じく、我々自身も彼が投げる姿をもっと見たい気持ちがあります」(井口監督)

「まだ子供の身体で、これだけのボールを投げられる。どんな投手になるか、すごく楽しみ」(吉井理人一軍投手コーチ)

 井口監督、吉井コーチともに、佐々木は発展途上で時間が必要なことは認めている。プロ野球はビジネスであることは理解できるが、少なくとも大人の事情で才能を潰すことだけはあってはならない。

「とにかく監督、コーチが盾になってでも守って欲しい。それができなくて潰れてしまった選手は多い。メジャーリーガーの平均デビュー年齢は24歳前後と言われる。20歳の佐々木にはあと4年あると思い、ファンの人も長い目で見てあげて欲しい」(MLBアジア地区担当スカウト)

 これまでのインパクトが強過ぎたため、佐々木に求めるものも大きくなってしまう。だが、周囲の人間も1度ブレーキを踏み、見守る必要がありそうだ。

 まだまだプロの世界で活躍するまでに時間はかかりそうだが、「数年先にメジャーに挑戦して欲しい選手には変わらない」とMLBアジア地区担当スカウトの評価も高い。佐々木の成長を“気長”に待つことも、ファンにとっては大事なことなのかもしれない。