高校時代から世間が注目する大型投手。甲子園がかかった高校3年時の地方大会決勝の登板回避など、能力以外の部分でも話題となった。プロ入り後もマウンドに上がること自体が大きなニュースになる。ファンからも「早く一軍で見たい」と期待は高まるが、佐々木本人を含め、関係者が今の立ち位置をしっかり認識しているのは心強い。身体作り、フォーム固めとともに、実戦登板の必要性を痛感している。

 プロ初登板は12日、中日とのオープン戦(ZOZOマリン)だった。6回から登板した佐々木は、1イニング12球を投げ無安打無失点、最速は153キロをマークした。コロナ禍で暗い話題が多い野球界は、佐々木の登板という明るいニュースに誰もが喝采を送った。

「プロ初登板できたことは良かったが、内容は参考にならない。力を入れた真っ直ぐは抜け気味で上ずり、コースに入れようとすると球威が落ちる。力感をなくした投球フォームを含め、試行錯誤しているのが伝わって来た。NPB仕様にモデルチェンジしているようで、高校時代とは別人のように感じた」(MLBアジア地区担当スカウト)

 テイクバックを変えるなど、投球フォーム改良の話は伝わって来ていた。感覚的な部分などもあり、本人が戸惑うのも理解できる。昨年の登板なしを考えれば、実戦登板までに、もう少し時間をかけても良さそうだったが、そうも言っていられない事情も聞こえて来る。

「『まだ見ぬ超人』で話題にはなった。しかし故障もないプロ投手が、ここまでマウンドに上がらないのはさすがに限界。しかも昨年は一軍に帯同させていたこともあり、ファン、スポンサーなどから、疑問の声も上がり始めていたらしい。加えて、ロッテはグラウンド外でのスキャンダルもあった。プロ野球は客商売。球団イメージもあり、佐々木を顔見せ登板させる必要があったのでは?という人もいる」(大手広告代理店関係者)

「初登板の12日は、1週間前の段階で雨予報で中止が確実視されていたが、曇り空の中で試合が開催。佐々木の登板予告をしてチケット完売だったため、決して良い状況下ではなかったが登板した。2度目となった23日も本来なら21日の先発予定だったのが、雨で中止。身体に不安のある若手投手を、この時期にスライド登板させるのも不自然です」(在京テレビ局関係者)

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「ファンの人も長い目で見てあげて欲しい」