「彼は常に前向きです。ビッグマウス的なぐらい前向きなので、すごくいいと思います。プロ野球選手はやっぱりそうじゃないと。前向きに、もう絶対打ってやるとか、絶対タイトルを取るんだっていうのがかなり出てますよ」(杉村コーチ)

 自分1人の力で勝てるわけではないということは、村上もよく分かっているだろう。それでも、どれだけチームに対する下馬評が低くとも、常に前向きに勝利を、優勝を目指してプレーするはずだ。

 村上は、SNSなどではしばしばその姓をもじって「村神」と呼ばれる。プロ野球史上、これまで7人の選手が計11回三冠王を達成し、そのうち優勝もしくは勝率1位に結びついたのは6回。史上最年少のトリプルクラウンとして、ヤクルトを6年ぶりの優勝に導いた村上が、まさに「村神様(むらかみさま)」として崇め奉られる──。シーズン開幕を明日に控えた今夜くらい、そんな夢を見てもいいだろう。(文・菊田康彦)

●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004~08年『スカパーMLBライブ』、16~17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。