ストロングポイントは逆方向にも飛ばせること。3月5日のソフトバンク戦(PayPayドーム)でのオープン戦1号は、左翼ホームランテラスへ運んだ。その後は甲子園に戻り10日の広島戦、12日の西武戦、14日の巨人戦と本拠地のレフト方向へ3本打ち込んでいる。

「逆方向にもしっかりと。特に(本拠地が)甲子園なので」(2月1日/佐藤)

 キャンプイン初日のフリー打撃から逆方向を意識した打撃が目立った。本人が語ったように、甲子園独特の右から左へ吹く強い浜風を想定。左の長距離打者が生き残る術を探していた。そしてオープン戦から、早くも対応力を発揮してみせた。

「新人のキャンプ初日なんて、どんな選手でも緊張する。自分のプレーを出すことで精一杯のはずなのに、すごい奴だと思った。どんな状況でも自分を見失わない。多少、結果が出なくても慌てないだろうね。使い続ければ、最終的には結果を出すよ」(阪神OB)

「技術も素晴らしいものがある。飛距離が出るのは、投球を理想的な角度でインパクトできるから。投球軌道とバット軌道を重ねるスイングで、強く遠くへ飛ばすことができる。フライボール革命の正当な体現者です。野球少年は参考にすべき」(MLBアジア地区担当スカウト)

 米国で主流のフライボール革命。打球に角度をつけて飛ばすためにアッパー気味でバットが出るのが特徴だが、佐藤はそれが身に付いているという。

 オープン戦後半には、引っ張っての本塁打も2本放った。3月16日のヤクルト戦(神宮)では右翼席上段へ大飛球を運んだ。そして17日の西武戦では、今井達也の直球を右中間へ突き刺した。引っ張れる従来の長距離打者の姿も見せ始めたが、未だ打撃技術に懐疑的な見方もある。

「一部の解説者から懐疑的な見方もある。オープン戦の活躍がウソのように、打てなくなった打者は多い。佐藤も打った球は真っ直ぐ系が多い。低めに鋭く落ちる球などは打っていない。こればかりは始まってみないと、と言うのも理解はできる」(在京テレビ局関係者)

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