■   出産前後のPMS対策とは

 柳沢さんは、現在3歳と1歳の子どもを持つお母さんだ。出産前後にPMSの症状は出なかったのだろうか。

「漢方は、産後の養生は今後の体調面で非常に大切だと考えます。実際に出産してみて、産後はものすごく体の変化を感じました。出産前にかなり対策をしておいたので良かったのだと思います」

 漢方の世界では「産後三カ月は養生」といわれている。このため柳沢さんは、この期間に休めるようにと、産前に産後の漢方薬をそろえておき、区の産後支援サービスの申し込みをしておいたほか、産後にあれこれ考えなくていいよう、育児に必要そうなものをピックアップし、すぐに購入できるようにしておいた。

「慣れない育児で消耗しているのに、さらに生理が戻ると、体への負担が本当に大きいなと感じました……」

 漢方では、産後は出産と授乳により、「血」の不足による不調になりやすいと考える。代表的な症状には、精神的に不安定になる、疲れているのに眠れない、物忘れ、頭が働かない、頭痛、めまい、枝毛・抜け毛などがあげられる。

■  イライラには柑橘系や香り野菜を

 普段のPMS対策とはどんなものなのだろうか。漢方薬剤師ならではの経験と知恵を知りたいところ。柳沢さんは、その時々の不調に合わせて漢方薬を飲んだり、食事を変えたりしているという。

「生活面での基本的な対策は、『血(体の中の栄養素)』が不足すると『肝(現代医学の肝臓だけでなく自律神経系も含む)』の働きが悪くなり、PMSを起こしやすくなるので、普段から肉類、ほうれん草、小松菜、黒ごま、黒豆など、血を補う食べ物を摂ること。生理前のイライラ対策としては、柑橘系の食べ物やセロリ・春菊などの香り野菜、ミントなど、『気の巡り』をよくするものを食べること。むくみが気になる時は、黒豆茶など水を出す働きがあるものを取り入れています」

 柳沢さんによると、漢方的には生理前は「気の巡り」が悪くなりやすい時期。「気の巡り」が悪いと、イライラの症状が出ると考えるため、「気の巡り」を良くする柑橘系や香り野菜が良いという。

 また、大豆は胃腸を元気にし、体内の余分な水を抜く力があるが、黒豆はそれに加えて、血(体の中の栄養素)や、腎(生殖機能のみなもと)を補う力がある。生理関連のトラブルがある人は「血」や「腎」の不足タイプが多いので、大豆より黒豆をオススメする。もちろん、お茶だけでなく、そのまま食べてもOKだ。

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運動なら何でも体にいい? PMS対策にベターな運動は