シニア世代の“家事シェア”はリスクヘッジになる(※写真はイメージです/GettyImages)
シニア世代の“家事シェア”はリスクヘッジになる(※写真はイメージです/GettyImages)
家事シェア研究家・三木智有さん。NPO 法人tadaima! 代表。「〝ただいま!〟と帰りたくなる家庭を増やそう」をテーマに、〝家事シェア〟の普及に尽力。
家事シェア研究家・三木智有さん。NPO 法人tadaima! 代表。「〝ただいま!〟と帰りたくなる家庭を増やそう」をテーマに、〝家事シェア〟の普及に尽力。

 定年後の夫婦の心地いい暮らしづくりに、家事の分担は重要なファクターだ。では、どうしたら上手に分担できるのだろうか。現在発売中の週刊朝日MOOK『定年後からのお金と暮らし2021』では、“家事シェア”を提唱する三木智有さんに取材した。「オレはちゃんと家事をしている」「うちの夫には何を言ってもムダ」という人も一読を。

【写真】家事シェア研究家・三木智有さん

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「家事を“家族の仕事”ととらえ、シェア(共有)しようという意識が、互いに不満を抱かずに暮らす秘訣です」 

“家事シェア”という言葉をつくった三木智有さんが、基本的な考え方を説明する。

「ただ、家事シェアといっても、子育て世代とシニア世代では、その意義が違います。子育て世代は、シェアすることで互いの信頼関係を築くという意味が大きい。シニア世代はむしろ、リスクヘッジの側面が強くなります」

 多くの場合、妻が家事を担っている。その妻が倒れたときに、夫が何一つ家事をできなければ、夫も妻も困ってしまう。

「夫が一人でも生活していけるよう、家事全般のスキルを伝達することが、シニアの家事シェアの最終的なゴールになります」

 どう伝達すればいいのか。三木さんによると、夫のタイプに応じることがコツのようだ。

 家事は得意ではないし、あまりやってこなかったという夫には、妻が少しずつやり方を伝えていくことになる。ここで注意点があると三木さんはいう。

「“洗濯物はこう干して”“何時になったら取り込んで”などと、作業を細かく分割し、一つひとつ指示を出し続けていては、夫は主体的になれません」

 子ども扱いされたようで、嫌になる夫もいるだろう。

「“洗濯をお願い”と、全体を任せたほうがいいと思います。妻の指示のもとでする“タスク”(作業)でなく、夫の“ミッション”としてその家事を丸ごと委ねる。このほうが結局は早くスキルを身につけられます」

 一方、夫が積極的に家事にかかわろうとするタイプの場合は、まず夫側に注意が必要だ。

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