札幌のペトロヴィッチ監督 (c)朝日新聞社
札幌のペトロヴィッチ監督 (c)朝日新聞社

 3月25日に日韓戦の開催が決まるなど、ようやく具体的な動きが見え始めた2021年のサッカー日本代表だが、依然として「森保ジャパン」への疑心は拭い切れていない。ロシアW杯以降、「ジャパンズウェイ」を錦の御旗に日本人監督へのこだわりを見せている日本サッカー協会だが、その日本人の強みを生かしたチーム作りは、Jリーグで結果を残している外国人監督の下でも可能なのではないか。今季J1の20チーム中10チームが外国人監督。その中に次期日本代表監督として力を発揮できる人材は、いるのだろうか。

 端的に答えるのならば、「いる」だ。その筆頭が、昨年、外国人監督では初となる J1通算200勝を達成したペトロヴィッチ監督だ。1957年10月18日生まれ、セルビア出身(現オーストリア国籍)の63歳。かつてイビチャ・オシムの下でアシスタントコーチを務めた「オシムの腹心」は、2006年に来日して以降、広島、浦和でともに6年間指揮を執り、札幌では今季が4年目になる。一貫して“ミシャ式”と呼ばれる可変型3-4-2-1システムからの攻撃的なパスサッカーを標榜し、独自のスタイルを構築。

 多くの若手を鍛え上げ、彼の戦術を引き継いだ森保一監督が広島でリーグ連覇を果たした。自らも浦和では常に上位争いを繰り広げ、札幌でも着実にチームの強化に成功している。すでに日本で16目のシーズンを迎えており、日本人選手の特徴は熟知。誰に対しても物腰柔らかな態度で接し、その言葉は哲学的でウィットに富んでいる。時間に制約がある代表活動の中で、特殊な戦術を落とし込めるかという部分が課題で、カウンターへの脆さも不安ではある。だが、時間をかけてでもその完成形に夢を馳せたい監督であり、「ミシャジャパン」ならば世界を驚かせることができると思わせる。

 外国人監督で2番目に通算勝利数が多いのが、百戦錬磨のブラジル人指揮官、ネルシーニョだ。1950年7月22日生まれ70歳。1994年に初来日してヴェルディ川崎のコーチ、監督を務めた後、2003年に名古屋、2009年からは柏、2015年からは神戸の監督を歴任し、2019年に5年ぶりに柏の監督となると早速チームをJ2優勝に導き、昨季はJ1でも旋風を巻き起こした。最大の武器は、その豊富な経験から来る引き出しの多さだ。

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他にも期待できそうな外国人指揮官