それ以外にも建て替えはあったがヤンキー・スタジアム(ニューヨーク)やドジャー・スタジアム(LA)の名称は、開場から変わらない。またカウフマン・スタジアム(カンザスシティ)は73年の開場時にはロイヤルズ・スタジアムだったが、93年に初代オーナーの名前が付けられた。

「日本の球場、そして多くのスタジアムやアリーナでも命名権採用の流れになっている。ただし阪神甲子園球場と明治神宮野球場に関しては今後もないだろう。現時点で『阪神』という企業名と『明治神宮』という宗教法人名が付いているので、特殊なケース。しかし2つの球場に関しては、すでに固有名詞のような認識がされている。もし万が一などがあれば、世論を巻き込んだ大騒動になるはず。31年完成プランも明らかになった新神宮には、命名権獲得に積極的な企業が多いらしいが現実的ではない」(広告代理店関係者)

 コロナ禍で世界経済が低迷する中、特にエンタメ産業の被害は甚大。スポーツチームなどは軒並み収益減で経営難に苦しんでいる。少しでも収入を増やし現状を好転させるなら、これまで以上に命名権は必要不可欠。このご時世でお金を出してくれる企業などには、感謝しかないのも事実である。

 しかし甲子園や神宮など、命名権を受け入れられない球場もある。お金では測れないアンタッチャブルな存在であり、スポーツ以上の文化財だからだ。そして結局のところ球場名が定着するかは、本拠地として使用するチームの印象にかかっている。『バンテリンD』が世間に広まるかどうかは中日の出来次第、お手並み拝見と行きたい。