「『インボイスSEIBUドーム』には唖然としました。インボイスは和訳すると請求書ですからね。中継などで名前を呼ぶたびに、頭の中で請求書が浮かんだ。海外の記者には笑いながらツッコまれたりもした。当時は西武グループ再建中だったとは言え、今となっては信じられない。笑い話ですね」(在京ラジオ局アナウンサー

 現在のメットライフドーム(17年3月1日~)は、79年に西武球場として開場。05年3月1日から06年12月31日までの約2シーズンは『インボイスSEIBUドーム』の名称だった(株式会社インボイスは情報・通信業)。その後はグッドウィルドーム(07~08年) 西武ドーム(08~15年)、西武プリンスドーム(15~17年)と移り変わった。

「米国でも球場名は、毎年のように変わる。記憶に新しいのは、イチロー(マリナーズ他)の庭とも言えた『シアトルのセーフコ・フィールド』(セーフコ:保険会社)が18年に『T-モバイル・パーク』(T-モバイル:携帯電話事業者)となった。日本のファンからは寂しいという声が聞こえたが、ビジネスで考えれば当然。大きな収入になるので、日本の球場もそうなって行くのは自然な流れで決して悪いことではない」(広告代理店関係者)

 米国で球場名称が短期間で頻繁に変わるは日常茶飯事。有名なのはアスレチックスの本拠地オークランド・アラメダ・カウンティ・コロシアム。ネットワーク・アソシエイツ・コロシアム(98~04年)、マカフィー・コロシアム(04~08年)など、66年の開場以来、6つの名称を使用している。またジャイアンツ本拠地オラクル・パークも00年の開場以来、4つ目の名称となる。

「新しい球場では命名権採用は当然の流れだが、伝統ある球場では考えられない。米国はビジネスライクな国だが、その部分の良心は不変。フェンウェイ・パーク(ボストン)やリグレー・フィールド(シカゴ)は野球を超越したもの。もっと言えば地域のみでなく、米国を代表する歴史的建造物。未来永劫、名前が変わることはないだろうし、そうあって欲しい」(MLBに詳しいフリーライター)

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甲子園、神宮はアンタッチャブル?