映画って公開するタイミングもヒットの大きな要因になってくると思うのですが、まさに、この映画は見るサプリ的な効果もあるのかなと思ってしまいました。

 若い人を中心にヒットしてるんだと思いますが、これは40代で仕事を頑張って来た男性にもぜひ見てほしいんです。

 私事ですが、僕は高校の時から付き合っていたA子ちゃんという女性と、千葉の田舎から東京に出てきても付き合ってしまいました。まあ、こんな人、たくさんいるでしょう。そして、僕は仕事を始めるわけです。Aちゃんとは3年以上以上付き合っていましたが、僕が仕事を始め、彼女も短大を出て仕事を始め、会う時間も少なくなり、会話が合わなくなったり、すれ違うようになりました。自分の中で自然と大切なものの順番が変わってしまう。そして、別れを迎えるわけですが。ここまで書いても、あるあるな話だと思うんですが、こういう経験をした人って、罪悪感を胸の中に閉じ込めていると思うんですよね。

 この映画を見て、その時の閉じ込めておいた罪悪感が刺激されて、一気に吹き出してきました。

 だからこそ、40代以上の男性にお勧めしたい。必死になって仕事に突き進んでいった20代の自分、勝手な自分、思い出しながら、自分の記憶を刺激してくれる映画なんです。気持ちよく振り返ることができる。

 罪悪感も思い出に変わる。

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。バブル期入社の50代の部長の悲哀を描く16コマ漫画「ティラノ部長」の原作を担当し、毎週金曜に自身のインスタグラムで公開中。主演:今田耕司×作・演出:鈴木おさむのタッグで送る舞台シリーズ第7弾『てれびのおばけ』が4月14日(水)~4月18日(日) 下北沢・本多劇場で上演。YOASOBI「ハルカ」の原作「月王子」を書籍化したイラスト小説「ハルカと月の王子様」が好評発売中。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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