現在は、鈴木千代(クロス・ヘッド)とペアを組み、アップテンポでボールをつなぐ、スピーディーなビーチバレーを展開。パートナーの鈴木は「最初は私がリードしていたけれど、今は由里香に助けられることが多い」と語るほど、坂口の安定したプレーはチームの武器となっている。

 鈴木をはじめ、先輩プレーヤーたちとしっかり波長を合わせてチームを作ってきた坂口。普段の口調はやわらかく陽だまりのようなふんわりとした雰囲気を醸し出し、一見おっとりした性格のように思える。しかし、「新しいことを始めるのが好き」と自負するようにプライベートではアクティブな一面をのぞかせる。

「コロナ禍で遠征に行けなくなったので時間ができた分、いろいろ始めてみました。サーフィン、ボルダリング、キックボクシング、ヨガ、裁縫……。最近ではテニス(笑)。新しいことができるようになるとうれしいし、クリアしていくのが好きですね。生活の中で刺激がほしいというか(笑)」

 2020年4月。1度目の緊急事態宣言が発令され、自粛生活を余儀なくされた時には、自身の部屋で撮影を試み編集した動画をYouTubeで配信した。そのチャンネル名は「ゆりちゃんねる」。女子ビーチバレー選手個人の動画コンテンツとしては唯一である。

「あの時はコートが使えなかったので早朝、人が来る前に公園で軽く身体を動かして、それが終わって帰ると10時30分(笑)。ずっと家にいたので動画を検索していたら、意外にビーチバレーのルールや技術、戦術を紹介する動画がなかったので、作ってみました。私たち選手からしたら当たり前のことだけど、サインとか面白そうなことを伝えられたらいいなと思っています」

 テーマはプレーのことだけではなく、遠征の荷造りやスポンサー商品の紹介まで多岐に渡る。反響もじわりじわりと広がっているようで、それがじかに伝わる出来事があった。

「ジムに行った時、会員さんに『ビーチバレーの坂口さんですか? YouTube見てます!』って話かけてもらいました。回数を重ねるとなかなかネタを考えるのが大変なんですけど、その後すぐに更新しました(笑)。観ていただけるのは本当にうれしいので、これからも合間を見て続けていきたいと思います!」

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「ずっと続いているのはビーチバレーだけ」