ともに1年目から活躍が期待される広島・大道温貴(左)と阪神・伊藤将司(右) (c)朝日新聞社
ともに1年目から活躍が期待される広島・大道温貴(左)と阪神・伊藤将司(右) (c)朝日新聞社

 3月に入りオープン戦も本格化してきたプロ野球。開幕まであと約2週間となったが、新型コロナウイルスの影響で来日の目途が立たない外国人選手も多く、戦力が揃うのは開幕後というチームも少なくない。そうなると例年以上に期待がかかるのが新人選手だ。そこでここまでのキャンプ、オープン戦で存在感を示し、早くから一軍戦力となる可能性のあるルーキーをピックアップしてみたいと思う。今回はセ・リーグの6球団だ。

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 ここまで12球団全体で見ても圧倒的に話題となっているのが阪神1位の佐藤輝明(近畿大)だ。キャンプ序盤からフリー打撃で快音を連発すると、2月18日のDeNAとの練習試合ではスコアボードを越える推定145メートルの場外弾を放つなど対外試合でも大活躍。オープン戦の初打席でも開幕投手が内定している石川柊太(ソフトバンク)からレフトへ一発を放っており、視察に訪れた評論家たちからも絶賛の声が相次いでいる。

 持ち味は何と言っても日本人離れしたそのパワーで、単純な外野フライだと思った打球がフェンスや外野の頭を超えることも珍しくない。石川から放った一発にも表れているように、左方向へも長打を放つことができるのは大きな魅力である。縦の変化球や胸元の速いボールなど弱点を徹底して攻められると苦しい時期はくる可能性は高いが、まずは一軍で試してみたいと思わせたことは間違いない。故障などがなければ、開幕スタメンも見えてくるだろう。

 同じ阪神では伊藤将司(2位・JR東日本)、石井大智(8位・高知ファイティングドッグス)の投手2人もここまで順調なアピールを続けている。特に日に日に評価を上げているのが8位指名の石井だ。175cmと投手としては決して上背がある方ではないが、高い位置から投げ下ろすストレートは角度があり、スピードガン以上の勢いが感じられる。縦のスライダーと、オーバースローの投手にしては珍しい球種であるシンカーを巧みに操り、三振を奪えるのは大きな魅力だ。抑えのスアレスに繋ぐセットアッパーの一角に定着することも十分に考えられるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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広島の新人投手は期待大?