記者会見と言いながら、私と、そして私と一緒にネット番組『NO HATE TV』の進行役を務めているフリー編集者の野間易通の二人は、一切の質問を禁じられた。

 その代わり、聞くに堪えない彼ら彼女らの主張を一方的に聞かされることになる。

「高江に常駐する約100名程度の活動家のうち、約30名が在日朝鮮人だと言われている」(我那覇)
「日本の安全保障にかかわる米軍施設への妨害、撤去を、外国人たる在日朝鮮人が過激に行うことが、果たして認められるものなのか」(同)
「運動の背景に北朝鮮指導部の思想が絡んでいるとすれば重大な主権侵害に当たる」
「在日朝鮮人たる辛淑玉氏に愚弄される謂れがどこにあろうか」(同)
「沖縄の基地反対運動のバックに中国が暗躍している」(杉田)
「大阪のあいりん地区の日雇い労働者をリクルートして沖縄に送り込んでいる」(同)
「反対運動に資金を出してるのは中国」(ギルバート)

 呆れるしかなかった。いや、その無根拠な思い込みとデマ宣伝に怒りが込み上げてきた。そしてあらためて確信した。

 沖縄への差別と、マイノリティー差別は地続きであることを。

 何の段差もなく、ひとつにつながっている。こうして言論が歪められる。沖縄が歪められる。

 もうひとつ、沖縄に向けられた偏見について言及したい。

 それは16年10月のことだった。高江の米軍ヘリパッド建設工事に反対する市民に向けて、大阪から派遣された機動隊員が「土人」と暴言(というよりもヘイト発言)を放つ“事件”が起きた。

 このとき、私はたまたま那覇に滞在していたこともあり、某テレビ局の情報番組でコメントを求められた。

 私は1903年の「人類館事件」(※大阪内国勧業博覧会にて、沖縄県民をはじめ世界の少数民族が「土人」として見世物にされた事件)などを事例に引き出したうえで、「土人発言」は紛れもなくヘイトスピーチであり、これは偶発的なものではなく、日本社会の沖縄に対する差別と偏見が引き起こしたものであると話した。

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だが、スタジオの反応は冷淡だった