この「10」という数を少ないと感じる読者もいらっしゃるかと思う。しかし、昨年時点で、日本国内のU-15年代女子チームの総数は、約200チーム。今回、アディダスのサポートで、その5%にあたるチームが誕生したことになる。しかも、そのうちの3チームは、この年代の女子チームがひとつもなかった都道府県に立ち上げられている。この一事をもってしても、アディダスの取り組みの成果。そして、これを後押しした「女性サッカーデー」という旗印に、大きな意義を感じる。

 こうした女性が活躍するステージを作り出すことを、日本のサッカー界では力を入れている。この秋始まる女子プロサッカーリーグ=WEリーグでも、設立意義の第一番目に「日本の女性活躍社会をけん引していく」を掲げている。東京オリンピックを控えて、役員の失言に端を発し、男女格差も話題になっているが、これより先に起こした能動的なアクションである。

「スポーツ界で、女性が活躍するというのは、たいへん遅れていて、サッカーももちろん、そのひとつです。女性活躍をしっかりと推進していこうというのは、数年前から議論されていました」(今井女子委員長)。

 WEリーグでは、所属クラブに積極的な女性の登用を求めている。意思決定に関わる役員に最低1名の女性を充て、役職員は将来的に50%以上を女性とするように定めた。また、将来的には、チームの指揮官が女性になるよう目指してもいる(現在は、高い競技性を担保するために、性別に関わらず、S級(またはそれに準じる)指導者資格を持つだけにとどめている)。

「立場が人を育てる」という言葉があり、抜擢された人間が成長、開眼するケースは多い。しかし、ただ期待をするだけでなく、JFAでは、こうしたリーダー的立場の女性を戦略的に育成するための施策も行っている。経営能力に長けた人材を育成するための「女性リーダーシッププログラム」を開設した。各都道府県協会のトップに近い立場につく女性や、クラブのフロント業務を行い、将来的に経営に携わる立場を期待される女性が参加している。

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女子サッカー界が日本の社会を変える?