大谷のような先発投手ならローテーションが定まっている。逆算して野手での試合出場も可能。しかし戸根のようなリリーフ投手が、二刀流としてプレーするのは現実的にかなり難しかった。投手として復帰できる公算が大きくなり、方向性を早めに決めたのだろう。

「練習などを見ていると、本気で野手に転向する様に見えた。ファンからの声援も大きかったし話題性は十分。投手として復帰できるメドが立ったのだろうが、もう少し引っ張って欲しかったのが本音。春季キャンプで二刀流なら、ニュース性も高かったはずなので残念です」(在京テレビ局スポーツ担当)

 昨年の秋季教育リーグから打席に立たず、リリーフに専念。早い段階での二刀流断念に、ため息も聞こえるが、本人はすでに前を向いている。

「打者を経験して、投手に生かせそうなことも分かった。左対左でインサイドを攻めるのは大事なんだと。(左翼の守備に就いている時に投手が)アップアップしているなとか、闘争心に満ちあふれているなとか、守っててすごくわかった」(戸根/昨年12月10日)

 大きな夢は志半ばで終了したが、投手として飛躍する可能性は残る。本人もモチベーションが高まっており、「50~60試合投げたい」と語る今後に注目が集まる。二刀流以上の大きな話題を提供してくれるかもしれない。そうなった時には「野手での経験」も意味があったと評価されるはずだ。