G1を5勝したメジロドーベルは、2008年にディープインパクト産駒の牡馬を出産。両親の合計G1勝ちは実に12というメジロダイボサツだったが、結果は16戦1勝と振るわなかった。メジロドーベルはこれ以外にもサンデーサイレンスやスペシャルウィーク、キングカメハメハなどと配合したものの、現時点では4勝しているルーラーシップ産駒のホウオウドリームが出世頭と、母に匹敵する活躍馬は送り出せていない。

 G1を6勝、2着も7回あった安定感抜群の名牝ブエナビスタは父がスペシャルウィーク、母はG1馬ビワハイジ、兄弟姉妹にはアドマイヤジャパンやアドマイヤオーラ、ジョワドヴィーヴルなどの活躍馬がいる良血馬。初年度から4年連続でキングカメハメハを配合したが、3勝した2番仔ソシアルクラブが一番の活躍馬にとどまっている。

 2007年に牝馬ながらダービーを制したウオッカは、2016年に誕生した産駒の父が欧州史上屈指の名馬フランケル。タニノフランケルと名付けられた牡馬は4勝してローカル重賞で2着まではいったが、G1戦線をにぎわすには至らなかった。

 そのウオッカの好敵手で有馬記念などを制したダイワスカーレットも、2011年にキングカメハメハの牝馬を産んだが、そのダイワレジェンドは4勝したものの重賞勝ちには届かなかった。

 他にも活躍できなかった名牝の子たち、良血馬たちは数知れず。特にペーパーオーナーゲーム(POG)を嗜むファンの方たちならば、ドラフト上位指名を裏切られた思い出が数限りなくあるに違いない。
 
 しかし母親や兄姉に思い入れがある血統馬を応援するのもまた競馬の楽しみ方の1つ。逆に良血馬とは呼ばれない地味な血統からも活躍する馬が出るのが競馬の面白さでもある。古くはオグリキャップ、さらにはセイウンスカイやキタサンブラックらがエリート血統馬を向こうに回して勝利をつかむレースに感動したファンも多いのではないだろうか。

 この機会にブラッドスポーツたる競馬の奥深さをあらためて探求してみるのはどうだろうか。(文・杉山貴宏)