■老後生活費を計算してみよう


 
 自分の老後資金と公的年金で家計破綻を招かずに済むかどうか、計算してみよう。まず、老後資金がいくらあるか。預貯金、株式・債券などの有価証券、退職金など定年後に現金化できる資産などを合計してみる。
 
 この老後資金から、車の買い替え、旅行、子・孫への援助資金など金額の大きい「イベント資金」と、医療や介護、さらに不測の事態に対応する「予備資金」を差し引く。そこで導き出される金額が、老後に使える生活用資金だ。
 
 イベント資金は、今後起こるイベントを想定して、ライフプランシート(図表1)を作ってみよう。ひとまず90歳までのイベント予算がいくら必要なのかを書き出し、年間予算を合計する。予備資金は、イベント以外に用意しておきたいお金。夫婦2人で500万円と考える人もいれば、1000万円は確保したいという人もいるだろうが、老後資金で賄えるようバランスを取って検討したい。
 
 ここで計算できた生活用資金を取り崩し年数で割ると、年間の取り崩し可能額が出る。90歳まで生きることを前提としてライフプランシートを作る場合、現在65歳であれば取り崩し年数は25年だ。
 
 仮に老後資金が3500万円、イベント資金が1200万円、予備資金が1000万円とすると、生活用資金は1300万円。これを取り崩し年数25年で割ると、年間取り崩し可能額は52万円。月額にすると約4.3万円だ。

 このお金と月々の年金、その他の収入を合わせた金額が、ひと月の老後生活費となる。

 どうだろう。ここで算出された老後生活費で暮らしていけそうにないのなら、予算オーバーということに。イベント資金や予備資金を見直し、日々の生活費についても無駄を省くといった工夫が必要だ。(文・田中弘美)