復活を果たしたのは、今年2月に29歳となったシュミット・ダニエルも同じだ。2019年7月にシント・トロイデン(ベルギー)に加入したが、昨年1月に右足を痛めて約半年の戦線離脱を強いられると、昨夏のシーズン開幕後もしばらくは控えやベンチ外の状況が続いた。しかし、昨年10月25日の第10節でスタメン出場を果たして2対0の勝利に貢献すると、そのまま正GKの座に定着して今年2月28日の第28節までの20試合中6試合でクリーンシートを達成。それまで1勝3分け5敗だったチームも、7勝4分け9敗と成績が上向いた(2月28日時点)。A代表出場7試合で国際舞台での経験値はやや物足りないが、197センチの高さと長い手足はベルギーリーグでも大いに役立ち、このまま奮闘を続ければ、欧州5大リーグへのステップアップの話も出てくる。

 彼らと異なる道を選択したのが、今年の3月3日に32歳となる権田だ。2019年1月にポルティモネンセ(ポルトガル)に移籍したが、出場1人のみというGKの特性上、なかなか出番を得られず。さらに2020/21シーズンになって若手GKを積極起用する方針の中で控えの状態が続くと、「試合に出ないと意味がない」と国内復帰を決断。「自分を一番必要としてくれた」と今季からJ1・清水に1年間の期限付き移籍で加入し、高いモチベーションを持って自身3シーズンぶりのJ開幕を迎えた。ロンドン五輪などアンダー世代での国際舞台を多く経験しており、A代表では通算18試合に出場。素早い反応に加え、的確なコーチングでDF陣からの信頼も厚く、スタメンの座を与えても間違いは起きない。今季、Jリーグの舞台で再び“違い”を示すことができれば、日本代表の正GK争いにも堂々と挑める。

 その権田と入れ替わる形で海外に渡ったのが、今年2月に26歳になった中村航輔だ。2018年のロシアW杯メンバーであり、類稀なシュートストップの能力はすでに証明済み。ただ、昨年は度重なる怪我に苦しみ、今年1月に柏からポルティモネンセ(ポルトガル)に移籍後も8試合出番なしの状況が続いている。

 それならば国内組に目を向けるべきで、G大阪で不動の地位を確立しながら好セーブを続ける34歳の東口順昭の名前が浮上する。加えて、東京五輪経由カタール行きを目指す、広島の若き守護神・大迫敬介と、同じく21歳ながら鹿島の正GKの座を奪い取った沖悠哉も、今後を見据えれば招集リストに入れておくべき存在だ。

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未来を見据えると…