一方、再治療の際にバイパス手術を選択するケースもある。

「手術で治すのは、冠動脈の根元の部分も再発してしまったなどの場合です。また、重症型なのに無理してPCIをおこなってしまった、というケースも考えられます。初発の時に、低侵襲なPCIで治せるならそうしたいと思うかもしれませんが、そのために再発してしまって手術をするのではよくありません」(藤田医師)

 では検査で再狭窄が判明したら、ただちに治療すべきなのか。

「必ずしも、すぐ治療しなければならないというわけではない」と上妻医師は話す。

「1年程度で狭窄が落ち着くこともありますし、苦しい症状があるかどうかや病変の部位も重要です。本当に治療が必要なのかどうか、整理して医師と話をしましょう」(上妻医師)

 ランキングの一部は特設サイトで無料公開しているので参考にしてほしい。「手術数でわかるいい病院」https://dot.asahi.com/goodhospital/

【医師との会話に役立つキーワード】

《抗血小板薬》
手術と違い、PCIは血液をさらさらにする抗血小板薬を1カ月から1年のあいだ飲む必要がある。別の病気の手術を控えているという人は、この薬を飲むことが好ましくない場合もある。

《薬剤溶出ステント》
ステント留置後の再狭窄のリスクを低下させるためのステント。細胞の増殖を防ぐ薬剤がコーティングされている。これが普及したことにより再発率は数%にまで抑えられた。

【取材した医師】
札幌ハートセンター 理事長 最高経営責任者 藤田 勉医師
帝京大学病院循環器内科 科長 教授 上妻 謙医師

(文/編集部・白石圭)

※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2021』より