公明党副代表の斉藤鉄夫氏(撮影/写真部・高野楓菜)
公明党副代表の斉藤鉄夫氏(撮影/写真部・高野楓菜)

 秋までに行われる次期衆院選は、公明党にとって厳しい戦いとなりそうだ。前回の衆院選では改選前から6議席減らしており、頼みの比例票も落ち込みが続く。神奈川6区から出馬予定だった遠山清彦氏も「銀座クラブ通い」で議員辞職した。斉藤鉄夫副代表は比例から広島3区にくら替えして出馬を表明しているが、地元では自民党県連との対立が表面化した。連立を組む自民党と、選挙でどう折り合いをつけていくのか。斉藤氏に真意を聞いた。

【写真】広島県内で大きな影響力を持つ自民党の大物議員はこの人

※【前編】「公明党副代表・斉藤鉄夫氏に聞く 公明党議員の『銀座クラブ通い』と政府の『コロナ対応ミス』はなぜ起きたのか」より

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――次期衆院選で、斉藤さんは比例中国ブロックから広島3区へのくら替えを表明しています。ここは公職選挙法違反の罪で公判中の河井克行被告の選挙区であり、元は自民党が議席を持っていました。そこに公明党の斉藤さんが立候補したことで、自民党広島県連は「絶対に受け入れられない」などと反発し、混乱を極めました。紆余曲折あり、与党候補は斉藤さんで一本化されそうな情勢ですが、自民党は県連会長の宮沢洋一参院議員が責任を取って会長を辞退するにまで至りました。なぜ、あえて広島3区からの出馬を決めたのですか。

 これまで広島、そして中国地方では、衆・参の選挙で自民党の公認候補を公明党が推薦する形で応援してきました。しかし、河井夫妻の事件が起こり、河井克行さんの地元広島3区の公明党支持者からは「これからはもう自民党候補を応援したくない」という声が強くなってきました。

 広島3区は野党の強いところです。自公協力しなければ勝てません。我々も与党として議席を落とすわけにはいきません。そうであるならば、私が自ら旗を振って「政治と金」から決別した政治を訴え、自民党に応援してもらって選挙戦に臨むことが最適なのではないかと考えたのです。私は1993年にこの地域を含めた中選挙区の旧広島1区で初当選しているので、地の利もあります。「与党の議席確保」という点からも、今回は公明党候補を自民党が応援してくれる形にしてもらえないかということが出発点なんです。

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「気持ちが(自民党に)うまく伝わらなかった」