■人を成長させるのは知りたいという欲求

 これまでのキャリアは「知りたい欲求に駆られて、いろいろなところに顔を突っ込んできました。あちこちの“支流”を歩いていたら、いつしか“本流” に合流した、という感じです」と語る。NTTでシステム構築に携わったことも、コンサルタントとしてIT系、流通小売系、物流系の企業を担当したことも、すべてZOZOという本流につながっていた。そこにはもちろん「縁」もあっただろう。だがその縁を引き寄せたのは、流れに身を任せつつも好機を見逃さないバランス感覚だ。

「以前、知人に言われたんです。『将来の計画には、あまり意味がない。今までの人生、計画通りにいったことがあるか?』って。そう言われてみると、確かにほとんどない。5年後、10年後のことを考えて窮屈になるくらいなら、目の前にあることを楽しんだ方がいい。若い人も早く自分に合う道を見つける必要なんてないから、まずはいろいろやってみれば?と。時期が来れば、新しい扉はおのずと開くものです」

 社長の仕事には一から勉強が必要なことも多い。社員の士気を高めるスピーチ術からメディアに出る際の服装、ファッションにおける「かわいい」の法則まで、知りたいことは山積み。だがそのことが、嬉しくもある。

「知りたい欲求があるから、わかった時の快感があるし、次の欲求にもつながる。どこまで行っても成長のもとにあるのは知的好奇心なのかな、と思います」

Profile
さわだ・こうたろう/1994年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。同年NTTデータ入社。NTT経営研究所やコンサルティング会社を経て、スタートトゥデイコンサルティングを設立し、代表取締役に就任。2013年にスタートトゥデイ(現ZOZO)に吸収合併後、同社取締役。19年から現職。

(文/木下昌子)