また、これらの支援以外に、例えば住宅、家財、その他の財産のうち、被害金額がおおむね2分の1以上の損害を受けた場合などは、本人からの申請に基づき、国民年金保険料の納付が免除されます。また健康保険料の減免や猶予、国税・地方税の減免措置などが認められる場合もあります(災害救助法の適用地域に在住しているなどの条件があります)。

 さらに被害を受けた子どもや世帯を対象に、教科書などの学用品の支給、小~大学の就学援助措置、授業料減免措置、国の教育ローン融資などの支援措置もあります。

地震や台風で勤務中・通勤途中に大ケガ——これって労災が適用される?

 就労中や通勤中のケガや病気、障害、死亡について補償を行う保険制度「労働者災害補償保険」——いわゆる「労災」。労災が適用された場合の治療費は、労災保険の療養補償給付の対象になり、ケガをしても原則、自己負担なしで治療を受けることができます。
 
 収入面でも、仕事中や通勤途中にケガをして仕事を休むことになった場合には、休業補償給付(通勤災害の場合は休業給付)が4日目以降から、1日当たりの給付基礎日額の60%、さらに休業特別支給金として20%が上乗せされて支払われます(休業して賃金が支給されていない日が4日以上ある場合)。
 
 労働者にとってはありがたい制度ですが、地震や台風などで仕事中にケガをした場合は適用されるのでしょうか。

 従来、労働基準局は「天災地変による災害の場合には、たとえ業務遂行中に発生したものであっても、一般的に業務起因性は認められない」、つまり原則「業務自体が原因の災害ではない」という立場をとってきました。
 
 しかし東日本大震災では、この原則を適用せず労災を認め被災者が死亡の場合も労災保険の遺族年金を支給しています。それ以外にも大型台風上陸による被害についても労災を適用しています。

 自然災害での被害に適用するかどうかはケースバイケースのため、もしこの先、仕事中に災害にあいケガをした場合は、まずは労災の適用について勤務先に相談してください。

 次回も引き続き生活を安定させるための社会保障の基礎知識について解説したいと思います。

(構成・橋本明)

※本連載シリーズは、手続き内容をわかりやすくお伝えするため、ポイントを絞り編集しています。一部説明を簡略化している点についてはご了承ください。また、2021年2月25日時点での内容となっています。

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小泉正典

小泉正典

小泉正典(こいずみ・まさのり)/特定社会保険労務士。1971年、栃木県生まれ。明星大学人文学部経済学科卒。社会保険労務士小泉事務所代表、一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。専門分野は、労働・社会保険制度全般および社員がイキイキと働きやすい職場づくりコンサルティング。『社会保障一覧表』(アントレックス)シリーズは累計55万部のベストセラー

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