外出すれば「レイプされる」と心配する過干渉の母…悩む28歳女性に「母親は現実と向き合っていない」と鴻上尚史が伝えた訳 (2/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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外出すれば「レイプされる」と心配する過干渉の母…悩む28歳女性に「母親は現実と向き合っていない」と鴻上尚史が伝えた訳

連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」

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 それとは別に、母親の心配に対する僕の考えを言いますね。

 いきなり例え話なんですが、公園の遊具に対して最近は、「危険だから撤去すべきだ」という考え方をする人がいます。その人達の声が強いと、ベンチしかない公園がたくさん出来上がることになります。

 ですが、公園の遊具に対しては、一律に危険だと断定するのではなく、「必要な危険」と「不必要な危険」に分けるという考え方があります。前者を英語で「リスク」、後者を「ハザード」と言ったりします。

 残念ながらというか、当然というか、遊具は、危険じゃないと面白くありません。高さが1メートルしかない滑り台とか動かないブランコを用意しても、子供はまったく興味を示さず、遊ばないでしょう。または、すぐに飽きるでしょう。

 だからといって、ものすごく急勾配で長い滑り台とか、5メートルもあるブランコは危険すぎて問題です。

 その危険が「必要な危険」か「不必要な危険」かが重要ということです。

 子供が遊具で遊ぶ目的はなんでしょうか? 子供はもちろん楽しいから遊びますが、大人が遊具を設置する目的は、子供達が遊ぶ中で、「生きていく上でぶつかる危険」を回避する能力を身につけてほしいからです。

 ジャングルジムから落ちそうになったり、こいでいるブランコから飛び出しそうになったりすることで、子供達は危険からの回避能力を学びます。それは、身体だけではなく精神的な学習もします。「これ以上、ブランコをこいだらたいへんなことになる」「ブランコをこいでいる人の後ろを通りすぎてはいけない」と学ぶのです。

 これは、身体的・精神的な回避能力を向上させるための「必要な危険」です。子供が大人になっていく中で、生き延びるためにとても必要な能力です。車から身を守り、ケガを予測し、自己を護るための重要な技術なのです。

 一方、「不必要な危険」は、物的な危険と人的な危険に分類されます。物的な危険でいうと、いくつかの遊具が「不必要な危険」だと認定されて消えていきました。通常、子供が飛び降りられない高さに設計された遊具なんていうのは、典型的に「不必要な危険」です。


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