楽天・藤平尚真も、千葉市リトルシニアのエースとして最速144キロをマークする一方、大貫中学では陸上部の助っ人として13年のジュニアオリンピックの走り高跳びで190センチを記録して優勝している。

 かつての名選手では、中学時代は2カ月で野球部を辞め、陸上部に所属していた江夏豊も、砲丸投げの近畿大会2位の実績で知られ、陸上の才能にも優れた野球選手は枚挙にいとまがない。

 近年は水泳の経験者も多い。前田健太(ツインズ)は小学3年のときに背泳ぎの西日本チャンピオンになり、炭谷銀仁朗(巨人)も小学4年のときにバタフライでジュニアオリンピックに出場。ほかにも菅野智之、小林誠司(いずれも巨人)、則本昂大、松井裕樹(いずれも楽天)、大谷翔平(エンゼルス)、藤浪晋太郎(阪神)ら有名選手の名前が次々に挙がる。

 昔は「水泳は投手の肩に良くない」が半ば常識だったが、寒暖差が少ない屋内プールなら、ほぼ問題はないといわれる。前田も「肩甲骨が柔らかいのは、水泳の影響もあるのかな?」と語っており、“水泳界の神童”が後の大投手というパターンもトレンドになりつつある。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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