阪神・藤浪晋太郎 (c)朝日新聞社
阪神・藤浪晋太郎 (c)朝日新聞社

 “あの時”の阪神・藤浪晋太郎は今年こそ戻ってくるのだろうか……。

【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!

 ここ数年、シーズン前になると「今年こそは」と復活を期待される藤浪は、7日に行われた春季キャンプ紅白戦で21年初の実戦登板でマウンドに上がった。2回を投げ1安打、3奪三振、無失点と安定感ある投球を披露した。その後も順調な仕上がりぶりを見せており、開幕ローテーション入りのみならず、優勝へのキーマンにもなれそうな勢いがある。

「申し分ないんじゃないの。まあ、もう『かっこいい大賞』間違いないでしょう。マウンドでしっかり、中身もしっかりしたものがあるんで。手応えを感じているんじゃないか、本人もね」(阪神・矢野燿大監督/2月7日)

 昨年もシーズン途中から、かつての輝きを取り戻しつつあった。年間を通しての成績は24試合(うち先発11試合)に登板して、1勝6敗、7ホールド、防御率4.01と決して満足いくものではなかったが、シーズン終盤は迫力ある投球が目立ち、先発投手としても好投を披露した。

「中継ぎをやって野球人生のプラスになったと思う。僕はそこから先発をやる晋太郎をまず見てみたい。中継ぎをできることは今年、分かったんで、それもオプションの中にはある。でもまずスタートとしては、先発ということしか現状は考えていない。(中継ぎは)何かあった時ぐらい」(矢野監督/昨年11月8日、朝日放送『おはよう朝日です』)

 今年3年目を迎える指揮官は、かねてから“球界の至宝”とも呼ばれた右腕に期待を寄せており、結果が出なくとも信じて使い続けた。オフに大型補強を敢行し、是が非でも優勝したい今シーズン、藤浪を鍵になる投手と考えているのは間違いない。

「後半はスライダーだったり、フォークだったりがコントロールできたことによって投球の幅も出てきた。やっぱり真っ直ぐ1本じゃ厳しい時代。真っ直ぐが速ければ良いって時代は、もう終わったと思っているので」(藤浪/昨年11月24日)

 昨季終了後、投球スタイルを見直した。10月19日ヤクルト戦(甲子園)では162キロの球団最速を記録したが、真っ直ぐだけでなく他球種を使って打者の目先を変える重要性にも気付いた。キャンプで披露した投球フォームはワインドアップで、躍動感が生まれ腕も強く振れている。完全復活の兆しが見え始めた。

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「このままなら相当な戦力に…」