■清水「A」

 名将ロティーナを迎え入れた今季、主力の残留に成功すると同時に多くの実力者を大量に補強し、過去2年の低迷から一気に上位進出を伺う構えだ。GKは日本代表で実力に疑いの余地がない権田修一(←ポルティモネンセ)、CBに新リーダーとして期待される28歳DF鈴木義宜(←大分)、左SBに昨季ロティーナの下で32試合に出場したDF片山瑛一(C大阪)、中盤にも東京五輪代表候補で様々なポジションをこなせるマルチMF原輝騎(←鳥栖)、右サイドの仕掛け人であるMF中山克広(←横浜FC)と主力級を補強。FW陣も今季ポルトガル1部で9試合7ゴールと爆発していた左利きのブラジル人チアゴ・サンタナ(サンタ・クララ)が加入し、他にも、指宿洋史(←湘南)、ディサロ燦シルヴァーノ(←北九州)と控えの確保にも余念がなかった。

 懸念は連携不足になるが、試合を重ねることで解決されるはず。守備組織の構築はロティーナ監督のお手の物で、権田の存在は非常に心強い。安定した守備を手に入れ、10番を背負って昨季10得点を挙げたカルリーニョス・ジュニオと新加入のチアゴ・サンタナの2トップが機能すれば、台風の目となれるはず。その可能性を感じさせる大満足のオフを過ごした。

■名古屋「A」

 昨季3位でACL出場権を得たチームは今オフ、周囲を驚かせる補強を次々と成功させた。新エース候補として天才FW柿谷曜一朗(←C大阪)、新たな切り札としてMF齋藤学(←川崎)、攻守において確実に貢献できるMF長澤和輝(←浦和)と元日本代表3人を獲得。さらにCBとボランチでプレー可能なDF木本恭生(←C大阪)、左右両サイドをこなすDF森下龍矢(←鳥栖)という実力者も確保し、組み合わせのバリエーションは大きく増加。レンタルで加入中だった金崎夢生も完全移籍で獲得した。

 チームを去った戦力も、MFジョアン・シミッチ、MF長谷川アーリアジャスール、DFオ・ジェソクとわずか。守備ベースは昨季から変わらず、そこに“違い”を生み出せるタレントたちが加わったことで、チーム全体がどのような化学反応を引き起こすかが非常に楽しみ。戦力値は間違いなくアップし、特に柿谷と齋藤の2人は前所属チームでは不遇をかこっていただけに、新天地でのモチベーションも人一倍。新たな刺激と2チーム分の戦力を持って、堂々とJの優勝争いとACLに挑戦できるはずだ。

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大阪の2チームの補強は?