シーズン終盤、リーグ2位で15年ぶりのリーグ優勝を目指していた矢先だった。岩下大輝と球団スタッフのウイルス感染から始まり、その後、感染者は14人にのぼった。

「(遠征中、外食には)誰1人行っていない」(松本尚樹・ロッテ球団本部長)

 当初は感染の原因について外食等を否定するも、その後に発言内容を変更。そして年明けにはさらなる不祥事が発覚。中心選手の1人である清田育宏の不倫騒動が報道された。しかもコロナ禍における交際相手との接触の有無について、球団へ虚偽報告もされていたという。

「内部調査を進めるにつれ、事実内容が変わるのはよくあること。ここ関しては会見を開いてしっかり説明していた。しかし清田の件に関しては、会見などを開かずリリース発表のみで終わらせた。一般的に不倫自体は当事者の問題だが、公序良俗には反する。お客さんによって成り立つプロスポーツの興行においては看過できない。ファンへの説明責任があったが、それが不十分過ぎる」(企業危機管理関連に詳しいフリージャーナリスト)

 今回のような場合は、まずは選手からの申告を信じるしかない。事実と異なることも発覚したが、事後情報の出し方、謝罪方法には問題なかった。しかし清田の問題に関しては、ファンの心証を考え、異なったやり方があったのではないか。罰を与えることとは別問題で、ファンと向き合う姿勢が薄かった。

「ファンへの認識の違いもあるのだろう。関西人はお金にシビア。値段に合わないサービスにはお金を出さない。少し前のように、黙っていても甲子園が埋まる時代ではない。球団は顧客に対して誠実に向き合わないと、商売にならないという危機感もある。ロッテはリピーターの常連ファンが多い。波風が収まれば変わらず支えてくれるという意識があるのではないか。それだけロッテファンは優しいとも言えるが」(在阪テレビ局スポーツ担当)

阪神ファンの一部は、スポンサー会社に直接苦情を入れるものまでいた。阪神阪急ホールディングスだけではなく、球場の看板などを出している銀行や飲料など多くの企業へクレームを入れた。球場での応援ボイコットやグッズ不買などで収まらない、実力行使をした。苦情自体の数はそこまで多くなかったが、こういう行動は火が広がるのも早い。球団としても軽く考えることはできなかった」(大手広告代理店関係者)

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ロッテの今後の対応には期待?