アスリートが所属するマネジメント会社の関係者も悩みを明かす。

「同調圧力と言っていいのかは分かりませんが……難しいですね。意見を言いたい選手は怖がらずにどんどん発信できる、という環境が望ましいとは思います。それよりも、まずは個人の前に競技団体やそのトップなど、上が積極的に意見を示せば、選手たちは守られるのではないでしょうか」

 女性蔑視発言とは異なるが、2004年にはプロ野球界再編騒動のさなか、巨人の渡辺恒雄オーナー(当時)が報道陣の取材の中で「たかが選手が」と発言し、大批判を浴びた。

 元巨人選手は、こう振り返る。

「今ならSNSが発達しているから、もっと批判がすごかっただろうね。でも、権力のある幹部の発言に現場の選手がものを言えないのは今も同じじゃないかな? おかしいことに対しては選手会が動けばいいんだから、選手個人が何か言わなきゃいけないような空気はきついと思う」

 パ・リーグ球団で活躍した元投手もこう漏らす。

「野茂(英雄)だって、メジャーに行きたいと動いた当時はさんざんたたかれたしね。僕自身も、現役当時にチャリティー活動をやりたいと言っただけで、先輩選手たちから『目立ちたがり』と小言をくらったことがあります。もっと選手が自由になれた方がいいのは確かなんだけど、好きにものを言えるのは大物OBくらいですよ」

 そもそも、森氏にきっちりものを申して、速やかに辞任を促すことのできる人材が周囲にいれば、一部の選手や元選手が無用な“圧力”を感じることはなかったのかもしれない。

「そのへんまで含めて、森さんには反省してもらい、組織も生まれ変わってほしいです」(前出の元アスリート)

 こうした静かなる怒りがあることも、森氏や組織委は自覚しなければならないだろう。(AERAdot.編集部)