■変異種の感染拡大 リスク減らす行動を

 2020年12月8日の英国を皮切りに新型コロナのワクチン接種が始まった。日本では21年2月下旬からの接種が予定されている。一方で、より感染力が高いとされる変異種の感染が世界規模で急速に広まっており、流行収束のめどは立たない。

「今回の流行が長期間にわたるにつれ、『若い人は大丈夫』『かかってもカゼみたいなもの』というような声も耳にします。実際、若い人が感染しても無症状、あるいは重症化しないケースが多い印象があります。しかし、一方で、死に至るケースがあることも事実です」

 このウイルスは、発見されてから日が浅いため、研究が急ピッチで進められているとはいえ、不明なことが多い。

「新型コロナの影響は医療分野の多方面に広がっています。確実なワクチンのほか、重症化のサインやその対処法などの治療法が確立するまでは、『自分がうつるリスク』だけじゃなく『自分がうつすリスク』、それによって『重症患者をつくるリスク』を考えた行動を心掛けてほしいです」

 児玉医師の「しんどい」状況の収束は、まだ先になりそうだが、一方で、「医師としての仕事」のやりがいも感じているという。

「新型コロナには、医師だけではなく、看護師、薬剤師などがチームとして立ち向かわなければなりません。誰もが必死に対応するなかで、チームワークの高まりを感じています。現状は、ストレスも大きく、しんどいのも事実ですが、同時に『このような状況に立ち向かえる医師になってよかった』という思いもあるんです」

(文・原子禅/AERAムック編集部)