森喜朗氏と二階俊博氏(c)朝日新聞社
森喜朗氏と二階俊博氏(c)朝日新聞社

 長老たちの暴走が止まらない――。
 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言が国内外に波紋を広げているが、今度は自民党の二階俊博幹事長の発言が物議を醸している。二階氏は8日の会見で、森氏の発言を受けて五輪のボランティアの辞退が相次いでいることについて、「瞬間的(なこと)」だとし、さらには「おやめになりたいというのだったら、新たなボランディアを募集する」と言い、辞退を申し出た一般市民を突き放すような発言をしたのだ。

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 この二階氏の発言には、世論は反発。ネット上には、《上から目線》《非常に不愉快》《ボランティアなんていくらでもいるっていいたいの?》《ボランティアの心をさらに傷つける発言》《国民を奉公人と考えているのか》といった声があふれた。

 こうした批判を受けて、橋本聖子五輪担当相もさすがに二階氏の発言を容認することはできなかったようで、9日の衆院予算委員会で「不適切だった」との認識を示した。しかし驚いたことに、当の二階氏は橋本氏のコメントに対して「幹事長が論評を加える必要はない」と言い、自身の発言についても「深い意味はない」と、まるでどこ吹く風。国民は驚きを通り越してあきれるしかないといった状況だ。

 発端は森会長の女性蔑視発言だった。辞任を求める声が高まる状況に対し、二階幹事長は「周囲の期待に応えて、しっかりやっていただきたい」と森会長を擁護していた。二階氏だけではない。自民党の森山裕・国会対策委員長も8日、記者団に対し、「反省をされ、発言も取り消している。引き続き森会長が務めていただくのがいいのではないか」との認識を示したという。

 そういう雰囲気の中での二階氏の言動だったのだ。

 擁護とまではいかなくても森会長に同調する動きは当初からみられた。日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議会で森氏の問題発言があった直後、会議の出席者から笑いが上がったという。これについて、社会学者の上野千鶴子氏は次のように指摘した。

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それなのに、なぜ失言は繰り返されるのか