一方、「会見の基本姿勢は変わっていない」と語るのは、「ご飯論法」の生みの親である法政大の上西充子教授だ。

「冒頭の発言は非常に聞きやすかった。発声や言葉も練り込んでいて、おそらくすごく練習されたのだと思います。努力の跡は見えますが、会見を思い通りにコントロールしようというスタンスは変わっていませんでした。例えば、質問回数も産経新聞が1月以降3回当たっているのに対し、朝日新聞は一度も指名されていません。東京新聞に至っては9月の就任当初から一度も当たっていない。嫌な質問や厳しい質問を抑えようという姿勢を感じます。そして予定した時間になったからと、会見を打ち切ってしまう。真剣勝負の質疑応答になっておらず、本当の意味で国民の疑問に実直に向き合うという姿勢は感じられません。見かけ上の姿勢は変わっても、そういう点は改める気がないのだなと思いました」

 崖っぷちの菅首相が難局を切り抜けるためには、本当の意味での「実直な姿勢」が求められている。(取材・文=AERA dot.編集部・飯塚大和)